全面戦争を憂う

ロシア軍は10日、ウクライナ全土の20カ所以上にミサイル攻撃や空爆を行った。クリミア大橋で8日に起きた爆発の報復であると、プーチン大統領は断言しており、これはもう、今年2月に始まった「ロシア対ウクライナ」の争いが全面戦争に入ったとみていい。

プーチン氏は これまで、ウクライナへの侵攻はあくまで「特別軍事作戦」でああって、「戦争」「攻撃」「侵攻」と表現することは違法であるとしてきた。 「虚偽の情報を広げた場合には刑事罰を科す」との法律を発布したほどである。だが、10日の首都キーウをふくめた広範な地域への軍事攻撃は、あらためてウクライナに宣戦布告をしたと言って差し支えないだろう。プーチン氏自身が戦争という言葉を使うのは時間の問題かもしれない。

私が憂慮するのはここからである。米国は先月末の段階で、すでに 162億ドル(約2兆3000億円)もの軍事支援をウクライナに行ってきたし、今後も継続して支援する姿勢を示している。プーチン氏が今後、戦争という言葉をつかい、ウクライナだけでなく、支援国家とも剣を交えることになると、最悪の場合は第三次世界大戦という流れになりかねない。

その時にネックになるのはやはりプーチン氏という独裁者の思考である。単独の権力者が国家の進む道を決め、盲目的といえるような政治決断をすることで負の連鎖がうまれる。被害者はいつの時代でも一般市民である。

なんとしてもプーチン氏の愚行を止めなくてはいけない。