米国バイデン大統領、再選に点滅し始めた赤信号

米有権者の約3分の2はジョー・バイデン大統領(79)の再出馬を望んでいない――。

次期大統領選まで2年以上の月日があるが、現職バイデン氏への再選に疑問を投げかける数字がすでに上がってきている。

米中部ウィスコンシン州にあるマーケット大学法律大学院(ロースクール)が9月23日に発表した全国世論調査によると、回答者の72%は「バイデン氏の再選出馬を支持しない」という結果だった。またコネチカット州にある、世論調査で定評のあるキニアピック大学が7月に発表した調査でも、71%の回答者はバイデン氏の再出馬を望んでいなかった。

同調査によると、回答者の64%は共和党ドナルド・トランプ氏の出馬も望んでおらず、過半数の有権者は両氏以外の第三候補の登場を期待しているという結果になった。バイデン再出馬への否定的な考えの根底には年齢問題がある(続きは・・・米国バイデン大統領、再選に点滅し始めた赤信号)。

日本の女性首相はいつになる

イタリアで25日、総選挙が行われて極右政党の「イタリアの同胞」が勝利したことで、同党のメローニ党首が次期首相になる公算が高まった。そうなればイタリア初の女性首相ということになる。

昨日、日本外国特派員協会(FCCJ)で仕事をしている時、仕事仲間のイタリア人女性記者(I)とスイス人記者(S)と私の3人で当件について話しあう機会があった。S記者がI記者に言葉を投げた。

「初めての女性首相が誕生して、感慨深いものがある?」

するとI記者は「全然!」と、即答した。私は「それは彼女(メローニ氏)がコンサバだから?」というと、I記者は「コンサバではないんです。極右の人間なのです。だから女性が首相になっても少しも嬉しくない」と本音を述べた。

私は「政治思想を抜きにしたら、女性を国家のトップにするということは、ある意味で価値があることかと思う。なにしろ日本はまだできていないし、たぶんあと10年たっても日本で女性首相は誕生しないかもしれない」と述べた。

するとS記者が、「米国もできていない。女性の社会進出という点ではどの国よりも進んでいるようにみえても、いまだに女性大統領を選出できていない」と言った。

それは女性の頑張りの必要性と同時に、「男社会」が政界に見えない壁を張り巡らせているということでもあり、まだまだ世界には取り組まなくてはいけない課題がたくさんあることを思い知らされた。

新聞が終わる日(2)

誰がいま新聞を読んでいるのか?

朝、仕事場に行くときに電車の中で新聞を読んでいる人は、ざっと見たところ一車両で一人いるかいないかである(その一人が私)。ほとんどの人はスマホに目をやっている。私は当欄でちょうど10年前、「新聞が終わる日(2012年5月27日)」というブログを書いて、そこで「新聞の役目はほとんど終わったと思える」と記した。

当時、すでにネット時代に突入していたので、紙の新聞はいずれは終わりを迎えることは誰もが予見できた。その時に書いたことだが、朝刊を読んでいると「いつのニュース?」という思いが湧き上がる。昨日起きたことは、ネット上では昨日のうちに知ることができるが、新聞紙面では半日から1日遅れる。だから、ネットニュースを読んでいる限り、即応性という点では新聞は太刀打ちできない。

新聞の発行部数も2005年の5300万部から減少の一途を辿っており、歯止めがかからない。朝日新聞ですら21年3月期決算で営業損益70億円の赤字を計上している。

ただニュースを伝えるという仕事が廃れるわけではない。むしろ、今後はネット情報が飛び交う中で、より正確なニュースが求められるため、今まで以上に良質なニュースを配信する必要が生じてくる。私も含めて、発信していく立場の人間はさらに切磋琢磨して、少しでも皆さまのお役に立つニュースを伝えなくてはと思っている。

カラフルストーン

photo from Twitter

自然のなせるワザ。

米モンタナ州北部にあるグレーシャー国立公園内にあるマクドナルド湖。水底のカラフルな石は鉄分と熱の作用によって自然に色がついたという。

いちど行ってみたい場所。

米中間選挙:民主党有利に動いている理由

アメリカでは11月8日に中間選挙(4年ごとの大統領選の中間年)が行われる。連邦議会上院の3分の1議席(34)と下院の全議席(435)が改選される。歴史上、中間選挙はホワイトハウスに入っている政権党が議席を失うことが多く、今年も春先まで、民主党が議席を減らす公算が高かった。

しかし共和党の勢いが6月以降、衰え始めており、このままいけば11月の選挙では民主党が多数党を維持する可能性がでている。理由の一つはトランプ前大統領への支持が分裂しはじめていることだ。

2024年の大統領選に出馬する意向があるトランプ氏は、相変わらず党内では根強い人気を維持するが、機密文書持ち出しをめぐる様々な不正疑惑が浮上してきており、保守派の中にはいま「嫌トランプ派」が増えてきている。唯我独尊的な言動も、疎まれる理由になっている。

さらに過去3カ月、ある理由によって共和党よりも民主党に追い風が吹き始めてもいる。それは日本国内では大きな報道になっていないが、人工妊娠中絶をめぐる、ある判決が起因している。6月24日、米最高裁は1973年に認めた人工妊娠中絶の判断を覆したのだ。

過去半世紀、アメリカでは人工妊娠中絶は女性がもつ当然の権利であるされてきた。73年の「ロー対ウェイド事件」で、最高裁が人工妊娠中絶を認めたことによるのだが、その最高裁が6月の「ドブス判決」で、一転して中絶を違憲であるとしたのだ。

州によって判断はわかれるが、すくなくとも6月の最高裁判断以降、半数以上の州では人工妊娠中絶が違憲となってしまった。この流れはこれまで米女性が築いてきた権利がガラガラと崩れることに等しく、今後大きな変化がもたらされることになる。

そこでいま、女性や若者、そして民主党支持者が中心となり、中絶を支持する政治活動が活発化しており、11月の中間選挙にむけて有権者登録が増えているのだ。ドブス判決以降、民主党の新規有権者登録者数は、たとえばペンシルベニア州では共和党の約2倍になっている。さらに共和党寄りの中部カンザス州でもドブス判決後、女性の有権者登録数が2ケタも伸びている。こうした流れにより、中間選挙では上下両院で民主党が多数党になる可能性がでてきている。