トランプの暴挙

ドナルド・トランプ前大統領は3日、CNNに対して4億7500万ドル(約690億円)という途方もない額の損害賠償訴訟を起こした。トランプ氏は訴状の中で、「(CNNは)政治的に(トランプ氏を)敗北させる目的で中傷している。2024年の大統領選に出馬させないようにするため、誹謗・中傷キャンペーンを行い、過去数カ月でそれはエスカレートしている」と糾弾した。

メディアが批判的な目で社会の事象や人物を斬るのはいつの時代でも行われてきたことである。確かにCNNはリベラル派のテレビ局として反トランプの論調を張っているが、それだからといって690億円もの損害賠償請求をおこなう図太さと利己的行為には呆れてしまう。

メディアが大統領に対して厳しい意見を述べ、批判的な論調を張るのはアメリカ文化の伝統であり、それに目くじらを立てるだけでなく、損害賠償請求を起こすということは、そこから逆に利益を得ようという目論見があるとしか思えない。

ワシントン・ポスト紙は今回の訴訟で、トランプ氏をこう糾弾している。

「他のトランプ大統領の訴訟と同様、この訴訟も中身がない、もっとはっきり言えばゴミのようなものだ」