これを民主主義と言えるのか

イギリスに新しい首相が誕生した。

インド系のリシ・スナク氏(42)に個人的な敵愾心があるわけではないが、首相を選ぶプロセスに首をかしげざるを得ない。

イギリスといえば議院内閣制や二院制、複数の政党制など、世界中で採用されている民主主義の制度を生みだした国家であるが、今回のスナク氏を選択したプロセスは旧態依然としており、「2022年になってこれでいいのか」という思いを抱かざるを得ない。

というのも、トラス氏が首相を辞任した後、保守党内で党首選を行って新たな党首(首相)を選ぶ流れの中で、今回はスナク氏だけが立候補したのである。単独の候補がそのまま選ばれ、イギリスという国家の首相に収まるのである。それが「決まりごと」であることはわかるが、本当にこれが民主主義と呼べるのかと本質的な疑問を投げたい。

日本と同じで、一般の有権者は首相選に一票を投じられない。それだけに一つの政党に所属する政治家だけに選ばれるプロセスが、真の意味で民主主義と言えるかどうか大きな疑問である。その点、有権者が一票を投じて大統領を決めるアメリカのシステムの方がより健全なのではないかとの思いがある。

議員内閣制のルールを変えることはかなり高いハードルであることはわかるのだが、今回のイギリスの件には苛立ちさえ覚えた。