久しぶりの膝ポン

今日、数学者でエッセイストの藤原正彦氏の新刊を読んでいると、久しぶりに「膝ポン」のくだりがあり思わずニンマリしてしまった。

藤原氏の妻(藤原美子氏)がある時、正彦氏に「どうして数学者になろうと思ったの」と訊くと、数学のフィールズ賞をとった人(郷里の隣町出身)の家族の写真がアサヒグラフに出ていて、「カッコ良かったから迷わず数学者になろうと思った」と言ったのだ。美子氏が「どうしてそう簡単に決められるの」と訊くと、こう告げるのだ。

「人生、思い込みだ。あとは突っ走るだけ。自分の能力を疑わないこと」

そして楽観が大事だと記す。まず自分は出来ると思い込むことで高みへと昇華させるという。もちろんすべての物事がそう簡単には進まないが、悲観的になっていては何も成就させることはできないと説く。そしてイギリスに滞在していた時に出会ったイギリス人青年にもこう言いきかせている。

「君がこれから数学者として歩む上でいちばん大切なのは何といっても楽観性だ。野心的な仕事に取り組むにも、挫折から這い上がるにもこれが必要だ」

性格的なものもあるだろうが、昔から「楽天だねえ」と言われてきた私にとってはまさに膝ポンだった。

米国の「台湾防衛」はすでに折り込み済み

米連邦議会のペロシ下院議長が台湾で蔡英文総統と会談したことで、中国はいきり立っている。習近平主席は「レッドラインを踏み越える行為」と発言し、ペロシ氏の訪台を真っ向から反対し、軍事行動も辞さない構えだ。

中国側にとって中台統一は長年の悲願であり、米国が最大の障害になっていることに変わりはない。ペロシ氏だけでなくバイデン氏も5月下旬、「台湾防衛のために軍事力を行使する意思があるか」と記者に問われた時に「イエス」と発言し、米国はホワイトハウスも議会も「台湾のために血を流しても構わない」方向に舵をきったと解釈されている。

それは米国の中台問題の政策が「戦略的曖昧さ」から「戦略的明確さ」へとシフトしたということでもある。

米上院外交委員会のロバート・メネンデス委員長(民主党)も、ツイッターで「バイデン大統領は正しい選択をした。台湾を守るために行動することは既存の政策と矛盾するものではない。確固たる抑止力というものには勇気と明瞭さが必要になる。我々は台湾の活気ある民主主義を全面的に支持する」と記したほどだ。

これは米国による明確な台湾防衛の意思表示であり、もう「中国からのちょっかいに指を咥えているだけではありません」ということでもある。もちろん中国も米国も軍事交戦は避けたいと思っているが、米国は以前よりもより台湾防衛に真剣になったということだ。