米国の「台湾防衛」はすでに折り込み済み

米連邦議会のペロシ下院議長が台湾で蔡英文総統と会談したことで、中国はいきり立っている。習近平主席は「レッドラインを踏み越える行為」と発言し、ペロシ氏の訪台を真っ向から反対し、軍事行動も辞さない構えだ。

中国側にとって中台統一は長年の悲願であり、米国が最大の障害になっていることに変わりはない。ペロシ氏だけでなくバイデン氏も5月下旬、「台湾防衛のために軍事力を行使する意思があるか」と記者に問われた時に「イエス」と発言し、米国はホワイトハウスも議会も「台湾のために血を流しても構わない」方向に舵をきったと解釈されている。

それは米国の中台問題の政策が「戦略的曖昧さ」から「戦略的明確さ」へとシフトしたということでもある。

米上院外交委員会のロバート・メネンデス委員長(民主党)も、ツイッターで「バイデン大統領は正しい選択をした。台湾を守るために行動することは既存の政策と矛盾するものではない。確固たる抑止力というものには勇気と明瞭さが必要になる。我々は台湾の活気ある民主主義を全面的に支持する」と記したほどだ。

これは米国による明確な台湾防衛の意思表示であり、もう「中国からのちょっかいに指を咥えているだけではありません」ということでもある。もちろん中国も米国も軍事交戦は避けたいと思っているが、米国は以前よりもより台湾防衛に真剣になったということだ。