久しぶりの膝ポン

今日、数学者でエッセイストの藤原正彦氏の新刊を読んでいると、久しぶりに「膝ポン」のくだりがあり思わずニンマリしてしまった。

藤原氏の妻(藤原美子氏)がある時、正彦氏に「どうして数学者になろうと思ったの」と訊くと、数学のフィールズ賞をとった人(郷里の隣町出身)の家族の写真がアサヒグラフに出ていて、「カッコ良かったから迷わず数学者になろうと思った」と言ったのだ。美子氏が「どうしてそう簡単に決められるの」と訊くと、こう告げるのだ。

「人生、思い込みだ。あとは突っ走るだけ。自分の能力を疑わないこと」

そして楽観が大事だと記す。まず自分は出来ると思い込むことで高みへと昇華させるという。もちろんすべての物事がそう簡単には進まないが、悲観的になっていては何も成就させることはできないと説く。そしてイギリスに滞在していた時に出会ったイギリス人青年にもこう言いきかせている。

「君がこれから数学者として歩む上でいちばん大切なのは何といっても楽観性だ。野心的な仕事に取り組むにも、挫折から這い上がるにもこれが必要だ」

性格的なものもあるだろうが、昔から「楽天だねえ」と言われてきた私にとってはまさに膝ポンだった。