米フォワード党の価値

先週水曜(7月27日)、米カリフォルニア州ロサンゼルスで新しい政党の立ち上げが発表された。「フォワード(Forward)」党という第3政党で、9月24日にテキサス州ヒューストンで正式な発足会が行われる予定だ。

米国政治は2大政党制が基礎で、民主党と共和党以外の第3政党が連邦議会で躍進したことはなく、両党どちらかの議員を選ばざるをえない状況が長く続いてきた。ただロス・ペロー氏の改革党やラフル・ネーダー氏の緑の党など、これまで第3政党が登場しなかったわけではない。それでも支持は広がらず、議会での議席は確保できていない。

それではフォワード党は有権者から広範な支持をえられるのだろうか。現時点で同党の政策綱領が発表されているわけではないのではっきりとは言えないが、有権者の中に民主・共和両党の政治に辟易しているという声が少なからずあり、そうした声が集積されることで支持が広がる可能性はある。

特に「新しもの好き」の米国人には、民主党のリベラルさでも共和党の保守主義でもない中道の魅力として捉えられるかもしれない。ギャラップ調査ではすでに第3政党が必要と回答した人が6割近くもいることから、支持拡大の期待はもたれている。

それでも私はフォワード党の大きな躍進というものには現時点ではあまり期待していない。というのも同党を立ち上げる民主党のアンドリュー・ヤン氏と共和党のニュージャージー州元知事のクリスティーン・トッド・ウィットマン氏が2人とも、米政界では大物ではなく「中粒」の政治家だからだ。

全米だけでなく、全世界に新風をふかせ、新しい政治文化を根付かせるくらいの勢いがあるとは考えにくいので、フォワード党がどこまでやれるかは正直、疑問が残る。ただ同党がすばらしい候補を擁立し、2024年の大統領選で新大統領を誕生させられる可能性がないことはない。いまはそれに期待したいと思っている。