東京上野のトビカン(東京都美術館)で3月28日まで開催している「吉田博展」を観てきた。吉田博という名前を耳にしてすぐに版画家であると言える方は、かなり美術の世界に精通しているはずだ。
今回は没後70周年の展覧会で、多くの木版画は心が温まるもので、吉田が抱いた美への深い憧憬がひしひしと伝わってきて愉悦をおぼえた。吉田は明治から昭和にかけて風景画家として名を馳せた人で、特に日本の山々を描かせたら彼の右にでる人はいないくらいのテクニックと美意識をもった人である。
その吉田は生前、「私は自然を崇拝する側に立ちたい」と述べており、会場を歩いていると、その言葉が作品から表出するかのような感じがあり、本当に嬉しくなった。
今回の展覧会の図録