メディアの総合格闘技

FM RADIO:      火曜(11日)午前7時半からBayFMに出演してアメリカ側からの普天間問題の見方を語ります。

http://www.bayfm.co.jp/

                                       

先日、ある女性雑誌の前編集長とランチをともにし、出版業界の厳しさが増しているとの話を改めて聴いた。誰もが知る月刊女性誌であるが、「広告が激減し、広告収入が以前の半分になりました。完売しても赤字です」という。

売り切れても赤字という事実は、旧来のビジネスモデルが破たんしたことを意味する。それは雑誌広告が一定以上入っていた時のものであり、広告が減った今となっては機能しない。多くの男性週刊誌も同じ状況で、広告が持ち直さない限り経営は成り立っていかない。

先週、『ニューズウィーク』が身売りされたというニュースは時代を反映している。親会社のワシントン・ポストは、『ニューズウィーク』部門の赤字計上で売らざるを得なくなったとしており、ネットの伸張に屈した形となった。

メディア業界で生きている私にとっても人ごとではない。

そこでしばらく前から、活字だけでなくテレビ、ラジオといった電波メディア、SNSやツイッターなどの電子メディア、また英語メディアにも積極的に出ていっている。新しい技を身につけないと時代に先を越されてしまう。

メディアの総合格闘技の習得である。

どこの国の漁港でしょうか?

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<答: ガーナ。首都アクラから西に130キロほどいったエル        ミナ市の港>

普天間の暴論

小旅行にでかけていた。その間、国内メディアは普天間問題を過大なまでに報じている。

普天間についてはこのブログでも他のメディアにも書いたので改めて述べないが、5日、日本外国特派員協会で仲間たちと雑談をしていると、過激な話がいくつも飛びだした。

「沖縄は独立した方がいい。日本政府からあれだけないがしろにされたら、もう我慢する必要はない。小国であっても独立を宣言して、アメリカと直接交渉したらいい。基地使用料と『日本』からの観光者にカネを落とさせればやっていけるだろう」

「小沢は日本のポルポトだな。鳩山という政治家を裏であやつっているが国は機能していない。国民を愚弄したまま自我を押し通す最悪の政治家。一般市民を実際に殺戮していないだけで、やっていることは同じようなものだ」

「普天間という小さな飛行場すら満足に移設できない民主党が、今の日本の財政難を救えるわけがない。ギリシャがEUやIMFから支援を受けたように、日本もいっそのことIMFから金融支援とアドバイスを受けたらいい」

昨年9月まで、彼らは自民党の悪政にうんざりし、民主党政権の誕生を願っていた。そして自民党から民主党へ政権が移行した直後は、ほとんどの記者たちが日本の政治も捨てたものではないというトーンだった。

しかし、その後の落胆は読者の方が想像される通りである。

「沖縄独立」、、、。面白い仮説ではある。(敬称略)

     

あと45秒です!

日テレNEWS24に出演したときの動画を貼りつけます(4月27日:GM再生とトヨタ問題)。

私の担当時間は8分。番組はナマなので、時間通りに進行しなくてはいけない。

キャスターの中島静佳が横に座っているので、それほど進行を気にする必要はないが、カメラの横にいるフロアディレクターから残り「7分」、「6分」、「5分」と書かれた紙を順にだされると、そのたびに心臓により強い波が打ちつけられる。

番組の前に、ディレクターから「堀田さん、8分ですが9分くらいまでは伸ばせますから」と言われていた。

残り時間を示す紙が、いよいよ「1分」に変わる。

「まとまるかなあ」

口調をいくぶん速めながら、まだまだ話すことがあるのでどこを外すかを考えながら、再びフロアディレクターをみると、「45秒」がでた。

「足りないや」。一瞬アッとなる。「今日は足りない」

8分を使いきってもまだ話は終わらなかったが、コーナーはなんとか9分以内で終えられた。

話す内容を気にしながらフリップを出し、残り時間に目をやりながら、キャスターの目を見て話す。その向こうには視聴者の方がいる。

要求されるのは「マルチタスカー」。(敬称略)

中国からの「ああしろこうしろ」

今朝(4月26日)の日経を読んでいて、気づいたことがあった。それは中国から学ぶという姿勢である。

経済指標を見れば明らかだが、日本は何年も前から中国に多くの分野で超されることはわかっていた。数字上ですでに抜かれた分野は多い。同時に、中国は日本にアドバイスをするようになった。今朝の朝刊にも2つあった。

日本はこれまで、外国から学ぶという時にヨーロッパやアメリカに目をむける傾向が強かった。けれども、いまは中国や韓国から学んでくるという流れができてきた。10年前にはほとんどなかったことである。

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朝刊には精華大学国情研究センターの胡鞍鋼(こ・あんこう)と野村資本市場研究所の関志雄(かん・しゆう)が持論を展開していた。

持論の展開というより、日経の記者が「ご意見を拝聴する」という姿勢の記事であり、2人は日本に辛口の意見を述べている。いささか被害妄想的かもしれないが、2人には「もう中国の方が日本よりも上だから、よく聴くように」と言われている気がする。

胡鞍鋼は日米の社会格差を比較している。両国の格差は広がっているが、中国の方は経済のパイが大きくなる中での格差なので低所得者も頑張ればよい生活が送れるという主張だ。一方、日本は収入が増えない中での格差なので「悪性の格差拡大」であり、解決策がないとまで言う。

また関志雄は日本の英語教育へきわめて現実的な論考をくだしている。私も英語教育には自分なりの思いがあり、実は関の主張とほぼ同じなので異論はない。けれども、関の口調には日本人への蔑みが隠されているようですらある。

日本人が英語を話せないのは、多くの教員が英語を話せないからところに一因がある。

「一向に改善されないのは、日本経済が変われないのと同じで、英語教員が既得権益化し、改革に反対するからです。(中略)中国には来日経験がなくとも、大学で日本語を専攻しただけで、日本語がぺらぺらの人がたくさんいます。でも日本の大学で中国語を専攻しても、なかなか中国語を話せない。この差は何なのでしょうか」

2人の意見を耳にして、今後中国から「日本はああしろこうしろ」と言われる機会が増えるとの観測がある。今朝の記事内容については、冷静によめば正しい現状分析であることがわかるが、読者の中には感情論を持ち出す人もいるだろう。

日本政府は戦後ずっとアメリカの「ああしろこうしろ」といった要求を飲んできた。賛否のほどはともかくとして、アメリカ従属論を堅持することで日本経済が長年上向いてきたことはある意味で事実である。

けれどもアメリカ従属論に食らいついているだけではもはや日本経済の復活がないことが分かってきた今、今度は中国からの「ああしろこうしろ」といった声に耳を傾けることになるだろうかとの問いがある。答えはたぶん「ノー」だろう。

それは日本人が潜在下で抱えるメンツに触れるからである。その摩擦機会が増えると、今後、日中両国で感情的な軋轢が大きくなる可能性もある。

それとも若い世代は中国からの「ああしろこうしろ」に従順にうなづくのだろうか。(敬称略)