噂のウワサ

世の中には怖いものがいくつもある。

身の毛がよだつ怖さもあるが、気をつけないと間違ったことを信じてしまうという怖さもある。その1つが噂の流布である。

誰かが「それらしいこと」を述べると、会話の途中では一つ一つ調べている時間がないので「フーン、そうなんだ」と納得してしまうことが少なくない。数人が話に加わっている時に説得力のある話を聴き、ほぼ全員が「フーン、そんなんだ」となると、これはほとんど定説の域に達してしまう。

最近、2つの噂を耳にしたが、両方ともニセ情報だった。単なる噂のウワサでしかなかった。ただ、両方とも以前から耳にしていたことだけに、いかに確かめることが大切かを思い知るのである。

1つは「中野サンプラザがなくなる」という噂である。

私は出身が東京の中野で、中学校の同期会もサンプラザで行っている。中野駅前に1973年に建設されたホテル、レストラン、コンサートホールなどのを含む複合施設は、数年前から「もう解体されるらしい」という噂がでていた。

そろそろ40周年を迎えるので老朽化には勝てないのかとの思いもあり、そう信じていた。だが「デマ」だった。総務部の人間に問い合わせても、「そんな話はないです」と明言する。

もう1つは誰かが死亡すると、その人の銀行口座がすぐに凍結されるという噂である。この話は以前から何度も耳にしていたし、私自身もそう信じていた。

実は今年1月、父が他界した。区役所に死亡届けを提出しないと荼毘に付す手続きに入れないので、すぐに届けを出す。金融機関はどこからか死亡情報を入手して口座を凍結し、遺族はその口座に手がつけられなくなるという話だ。

まず世話になった葬儀所の社長が「それは違います」と否定した。その次に司法書士も「そんなことはない」と断言した。むしろ「普通は相続の手続きが終わるまで3ヵ月くらいは開けておきます」と説明してくれた。まったくその通りだった。

逆に金融機関に凍結を申し込みに行っても、まだ自動引き落とし分などが終了していないので「凍結できません」と突っ返されてしまった。

これは最近、身近におきた2つの噂にすぎない。他にもいくつもあるだろうが、人生1つずつ不確かな噂をクリアしていかないかぎり、噂のウワサを信じたまま生きていくのだろう、、、トホホである。

大震災がカンバン方式を襲う

東日本大震災から半月が経った。傷痕は癒えるどころかますます傷口が広がり、深くなってさえいる。

原発事故による放射線漏れが最も深刻な問題だが、長期的に世界経済に与える影響は計り知れない。過剰なまでの拒否反応から、アメリカでは原発そのものに対する違う津波が押し寄せていることを前号で記した。

壊滅的な打撃を受けた東北地方を復興するため、建設業を中心にした産業需要が増し、資本が多角的に投下されて日本経済が押し上げられるのは当分先のことだ。その前に、大震災は日本のGDPを2.5%以上は押し下げるだろう。

日本だけではない。すでに大震災の「マイナス波」は地球の裏側に及んでいる。日本企業が蓄積してきた独自のビジネス戦術に今、大きな疑念が持たれている。その一つが、トヨタが体系化して世界中の企業に取り入れられたカンバン方式である、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。