手作りのロック

数日前、スカパーの番組(ニュースザップ)に出演した時、ミュージシャンのグローバーと共演した。

彼のやさしさあふれる語り口は、人を惹きつける。私より20歳も若いとは思えないくらいだ。CM中に雑談する時間があり、音楽の話で盛り上がった。

彼は過日(2月4日)他界したモーリス・ホワイトの話をした。名前をきいてもピンとこない方もいらっしゃるだろう。ホワイトというのは1970代に活躍したロックグループ「アース・ウィンド&ファイア」のボーカルである。

グローバーもたぶん記憶にない頃に全盛時代を迎えたバンドだが、プロのミュージシャンらしく、彼はホワイトの音楽も特徴もしっていた。

当時はまだコンピューターが音楽制作の現場に使われていない時代。レコーディングもそのままの音を拾う。

「いまでは考えられないことが起きていたんです。私はドラムを叩いていたのでわかったんですが、曲が進むにつれてペースが速くなるんです」

コンピューターでリズムを刻む時代である。曲の途中でリズムが速くなることなどほとんどないだろう。しかし、音楽は人間が聴くものである。

感情が高まり、体が揺れるにしたがい、リズムが速くなる方が自然である。

「堀田さん、ぜひ昔の音源で聴いてみてください」

自宅にもどり、もっていたはずのアース・ウィンド&ファイアのCDを探したが見当たらない。

しょうがないのでYoutubeで「September」を聴いてみたが、なんとなく速くなっているくらいしか感じられず、眼だけでなく聴力も落ちているのかと思ってフッとため息をつくのである。(敬称略)

2ちゃんねる実況

NHKで10月8日に放映されたドキュメンタリー番組『Dr.Mitsuya 世界初のエイズ治療薬を発見した男 満屋裕明』。2ちゃんねるでも同時進行でコメントが多数寄せられた。

番組開始と同時にスレッドがたち、終了までの50分間で約1000本のコメントが入った(Dr.MITSUYA〜世界初のエイズ治療薬を発見した男 1|実況)。

今回の番組内容には「ノーベル賞もの」とか「やっぱアメリカすげーなぁ」、「カッコイイおっさんだな」といった肯定的なコメントが多かったが、劇画が使われたことで「また変なところでアニメだよ。いいかげんにしろよ」とか「妙に自分語りが多い番組」といったさまざまな視聴者の本音が書き込まれた。

それはテレビを観る人たちの飾らない思いであり、社会が本音化した姿でもある(社会を本音化させたインターネット )。

なかには「オシャレな時計やね」と満屋氏の腕時計に感心したコメントもある。視聴者は番組を追いながら、あらゆるところに眼をはわせ、情報を取捨選択している。極めて普通のことだが、ネット社会以前はこうした本音は朧(おぼろ)なままだった。

それがネットによって顕在化され、避けて通れない現実となったことに少しばかりの嫌悪を覚えながらも、最近は「すべて受け入れましょう」という気持ちでいる。

エボラ

あまり煽りたくはないが、エボラ出血熱の感染がひろがっている。

先月末にJBPressで書いた記事(エイズよりはるかに怖いエボラ出血熱、蔓延の兆し)の続報をお知らせしたい。

記事中でパトリック・ソイヤーさんという方がナイジェリアで亡くなったと記した。彼と接触のあった方が首都ラゴスと飛行機で何人もいて、感染が心配だったが、憂慮していたとおりの展開になりつつある。

ナイジェリアではすでにソイヤーさんを世話した看護師の方が亡くなった。さらに今週半ばまでに7人の感染者が判明し、現地の報道(8日)によると新たに5人がエボラ・ウイルスに感染しているという。それ以外にソイヤーさんと接触のあった27人が監視体制のなかに置かれている。

恐ろしいのは致死率の高さだけでなく、感染後3週間以内に発病し、患者によっては数日で死亡してしまうスピードの速さだ。

アフリカ以外では、すでにサウジアラビアのビジネスマンが西アフリカへの出張後、帰国後ジッダで亡くなった。スペイン人神父はリベリアで感染後、現在マドリードで治療中だ。アメリカ人2人もアトランタの隔離病棟で治療を受けている。

西アフリカでは医師や看護師が死亡していることも恐怖心を助長させている。ただウイルスを蔓延させない適切な処置をすれば感染は防止できる。

日本も他人事ではない。厚生労働省は「いますぐ感染者・患者を治療できる」という体制だけは整えておかなくてはいけない。

やはり、、、のサッカー日本代表

相変わらず空回り、、、というのが正直な感想である。

熱烈なサッカーファンは本田の公言した「優勝」という言葉を信じているかもしれないが、こうした国際大会の時だけサッカーを観るという方(私も含めて)は、頑張ってほしいとの思いがある一方で、「ンー、、、やはりなあ」という悲観的な感情も抱えている。

ギリシャ戦ではボール支配率がおよそ70%という高率ながら、得点できなかった。

最初から過度の期待はかけるべきではないとはわかっていながら、スカッとしないのはいったいどうしたわけか。食べたものが消化しきれずに明朝にまで持ち越されたような気分である。

強豪国であってもグループリーグで敗れるのがワールドカップであると、誰もが知っている。それでも、「どうしたニッポン」という気持ちは消えない。

理由のひとつはストライカーの欠如だろうかと思う。クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)やアリエン・ロッベン(オランダ)とまでいかなくとも、ゴールネットを切り裂くくらいの弾丸シュートが日本選手からはほとんど見られない。

パスなのかシュートなのか判別つかないスピード、、、と言っては失礼だが、そうとしか見えない。「それじゃお前、蹴ってみろよ」と突っ込まれたら「できません」としか言えないが、スカッとしない原因をさぐるとそういうところに行き着くような気がする。

昨年J1で得点王になった大久保はまだしも、ヨーロッパリーグで活躍する日本人選手は小技こそうまいが、自分でゴール前まで持って行って、2人ほど相手選手をかわしてゴーーール!という豪快さはない。

プレミアリーグやセリアAで得点王(無理か)でなくても、得点ランキングでせめて20位に入ってほしい。だが長友が53位で本田にいたっては174位。香川は今季18試合でノーゴールのため、ランキングにさえ登場していない。

まだコロンビア戦が残っている。あまり感情移入しないで応援することにする。(敬称略)

STAP細胞のゆくえ

小保方晴子が9日、大阪で会見を開いた。会見では相変わらずSTAP細胞の実験の詳細は明かされなかったが、多くのメディアが批判的な眼をむけるなか、私は謙虚さや熱意が伝わる会見だったと思っている。

言い訳がましいことは口にせず、上司や理研の批判も封じて謝罪に終始した。

だが2時間半の中で、彼女に付着した負の部分をすべて「正」に反転できたかは疑問である。パワーポイントによる会見だと聞いていたので、実験データを示すのかと思ったが違った。

つまり、最も重要なポイントであるSTAP細胞の作製の証明が示されなかった。単に200回という数字をだしたに過ぎない。

ただ私は会見の中で口にしたいくつかのキーワードから楽観的な見方をしている。人によってはいくつかの不正行為によって「信用できない人物」とか「研究者として終わった」と述べるが、 彼女にしかできない実験を成功させていると考えている。

「今回の論文は現象論を示しており、最適条件を示したわけではない」という言葉にそれが表れている。

3月16日のブログ信頼を回復させるために で書いたとおり、論文に書かれている実験工程だけで追試をしてもうまく行くとは限らない。生化学の実験では扱う細胞によって結果が違うし、繊細なヒトフリによって他者のおこなう実験と違う結果がでる。

彼女だけが会得した実験ノウハウによってSTAP細胞の作製に成功したと私は見ている。限定的な実験環境においてだけで、誰しもができる条件下ではないというのが、「現象論を示しており、最適条件を示したわけではない」という意味だ。

さらに「コツやレシピーのようなもの」という言葉もそれを示している。これこそが発見者だけが知る秘密である。そして彼女は自信をのぞかせる。

「もし私が細胞を作るところを見たいという方がいれば、ぜひどこにでもいって、、、できるだけの協力をしていきたい」

論文は公表された時点で、すべてを明かさなくてはいけない。手品の種あかしではないが、すべてを世界中の研究者にさらす義務がある。

これまでは競争だったが、遅れていた研究者に種あかしをすることで、また皆が同じラインに立てる。そこから競争すればサイエンスはさらに先に進める。科学者はオープンでないといけない。

小保方は研究者としては未熟だが、サイエンティストとしての姿勢は十分に評価できる。もし昨日の会見で虚言をはいていたとしたら、その時は本当に終焉と言えるかもしれない。(敬称略)