北朝鮮情勢とキューバ危機

今朝、北朝鮮がミサイル発射に失敗したが、アメリカは北朝鮮との軍事的対立にいつでも対応できる態勢に入っている。

トランプは13日のツイートで、「中国が北朝鮮を適切に対処できなければ、アメリカは同盟国と共にヤルだけだ」と軍事攻撃も辞さない構えをみせた。

金正恩がアメリカの威嚇に一歩も引かず、今後、6回目の核実験を行ったり、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射した場合には、トランプは本気でしかける可能性がある。

ただ北朝鮮の韓国・日本への報復を考えると、アメリカは足踏みせざるを得ない。過去20年以上、アメリカが北朝鮮に先制攻撃をしかけられなかった理由もそこにある。

こうした状況で思い出すのは1962年のキューバ危機である。ジョン・F・ケネディーは核兵器がキューバに持ち込まれることを恐れて海上封鎖をした。

この時の海上封鎖というのは、旧ソ連の核兵器をキューバに上陸させないということだ。それにより、米ソの戦争は回避されたと言われている。

ただケネディーはキューバへの空爆を真剣に考慮していたし、カストロも攻撃された時にはアメリカへの報復を念頭に置いていた。だがケネディーは熟慮の末に軍事攻撃に踏み切らなかった。

実は当時、フルシチョフはアメリカと戦争をすることなど真剣に考えていなかったことが後年、伝えられた。アメリカを恐れてさえいたという。

いまの金正恩がまさにフルシチョフで、外見は強がっているように見えても内心は恐れおののいているのかもしれない。

外国のメディアをピョンヤンに招いている間は軍事攻撃はないし、自分の命も安泰のはずである。

負けず嫌いであるが、誰よりも命が惜しいタイプなのかもしれない。いや、今はそう願う。(敬称略)

本当に盗聴はあったのか

「(オバマ前政権の)司法長官がトランプ・タワーの盗聴を命令したはずです。司法省がやったのです。トランプの言っていることが正しいと思います」

ブッシュ元政権で司法長官だったマイケル・ミュケイジー氏は米ABCテレビに出演し、トランプを擁護してみせた。

トランプが3月4日にツイッターでつぶやいた内容が過去1週間、物議をかもしている。たて続けに4本もつぶやいた。最初がこれだ。

「ひどいものだ!オバマはトランプ・タワーの電話を盗聴していたんだ。しかも選挙で勝つ直前だ」(続きは・・・盗聴騒ぎ物議 オバマ前大統領はやっぱり命令していたのか)。

 

クシュナー対バノン

ジャレッド・クシュナーがいま、蚊帳の外に置かれている――。

言わずと知れたドナルド・トランプの娘婿で上級顧問のクシュナー。ハーバード大卒の秀才がいま、トランプの側近たちから距離を置かれているとの情報が入ってきた。

理由はクシュナーが厳格なユダヤ教徒であるからだ。オーソドックス(戒律厳守)のユダヤ教徒であるため、安息日(金曜日没から土曜日没まで)は基本的に仕事をしないのだ。

サバスと呼ばれる安息日は電気機器を使わないし、火も使わない(料理をしない)といった戒律を守っている・・・(日刊ゲンダイ:ホワイトハウスで内紛勃発 バノンがクシュナーをパージ?)。

“トランプ暗殺”実行予告

ドナルド・トランプ(70)の暗殺予告がイスラム国(IS)から出されている――。

本当ならば怖いことである。今月20日の就任式を目前に控え、トランプに敵対心を抱くISは米国内にいるIS支持者に対して暗殺を呼びかけている。首都ワシントンのラジオ局WTOPが、連邦政府職員からの情報として伝えた。

トランプ暗殺の脅威は、昨年11月の当選以来、増えている。ISは昨年12月にもトランプ暗殺を呼びかけるビデオを公表したほどだ。ネット上でもトランプの暗殺予告は出回っており、就任式が実行日だという。

というのも、当日はトランプのスケジュールが事前に公表されているからだ。連邦議会前(屋外)で宣誓、就任演説を行った後、ホワイトハウスまでパレードが予定されている・・・(“トランプ暗殺”実行予告 | 日刊ゲンダイ)。

オバマに望むこと

バラック・オバマが広島で17分間のスピーチを行った。当初は5分前後の所信を述べるだけと伝えられていたので、思いのほか長かった。

「・・・人類はあと戻りのできない価値を携えています。すべての人間は同じ家族の一員であるということを述べなくてはいけません。だから今日、広島の地にきたのです。・・・広島の人たちはもう戦争は望まないでしょう。戦争よりも、日々の生活をよりよくしてくれる科学に身を寄せるはずです・・・(原爆が投下された日)世界は広島で、永遠に変わったのです。広島の子供たちは今後、平和に日々を過ごすことでしょう。それこそが重要なことです。広島の子供たちだけでなく、地球上のすべての子供たちも同じように。それこそが我々が重視しなくてはいけない未来です」

演説内容はよく練り込まれた文章だった。このスピーチは間違いなく、過去7年以上、オバマの主要な演説を書き続けているスピーチライラーのベン・ローズが書いたものである。

大統領と2人で「謝罪の言葉は入れない」、それよりも「未来志向の内容にする」ということが話し合われて17分間の演説になったのだ。

ただ私にはオバマに注文がある。先月12日にブログで書いたとおり(オバマが本当にやるべきこと)、演説だけでなく、いまでも米露が所有する1万5000発以上の核兵器を削減するために、ロシアと協調しなくてはいけない。さらに真の意味での核兵器廃絶のために、核兵器所有国に働きかけないといけない。

それが残り8カ月の任期でオバマがやるべきことである。(敬称略)

obama5.28.16

誰よりも先に着席したオバマ大統領   By the White House