世界でもっとも長寿のネコ

ギネスブックには出ていない。

スウェーデンの首都ストックホルムから西に約200キロほどいったカールスクーガという町に、もうすぐ30歳になるネコがいる。ネコや犬についてご関心のある方は、この年齢を聞けばいかに長生きかがわかるはずである。

20歳まで生きたとしても「チョージュ!」という声が聞かれるのが普通だ。

ただこれまで、ネコの寿命でギネス記録をもっていたのはアメリカ・テキサス州にいたネコで38歳と3日。2005年に他界しており、いまは「ミッサン」という名前のこのスウェーデンの雌ネコが世界で生存しているネコとしてはもっとも長生きのようだ。

オーナーのウィックバーグさんは1985年、生まれたばかりの捨てネコを「ミッサン」と名付けて育ててきた。

スウェーデンの地元紙は、ウィックバーグさんが嘘をついているようには見えないと書いている。近い将来、世界中から注目されるかもしれない。

「マッサン」ではなく「ミッサン」、、、である。

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Photo courtesy of TT/the Local

同じジャーナリストとして思うこと

後藤健二さんが殺害されたことは大変残念であり、無念である。

個人的に後藤さんにお会いしたことはなかった。実はイスラム国に拘束されるまで名前も知らなかった。

亡くなられた方はもう何も語れないので、軽率な批判をしてはいけないのが業界の常識だが、同じジャーナリストとして少しばかり思うことを記したいと思う。

今回、後藤さんは単身でイスラム国に入りこんだ。いい比較ではないかもしれないが、第2次世界大戦中に、日本人でありながら「ジャーナリストですから」と言って日本軍ではなくアメリカ軍のなかに飛び込んでいくような勢いと危うさを感じていた。

これまで戦争報道をしてきたジャーナリストは数多い。彼らの多くは自国軍の兵士たちと行動を共にすることがほとんどで、それこそが身の安全を一応ではあるが確保することにつながっていた。

本人はシリア入国後に「何が起きても責任は私にある」といったことを述べていたし、イスラム国に拘束されることをいとわないようなニュアンスも伝わってきていた。反シリア政府軍から記者証を発行されていたようだが、それがイスラム国への取材許可であるわけではない。

週刊誌で書かれたような10分の動画で100万円単位の報酬を手にできるといったことが動機だったかどうかはわからない。

同じジャーナリストとして、時にはリスクがともなう取材を行うこともあるし、それが精神的高揚をもたらせることも知っている。だが敵と呼んで差し支えない犯罪集団のなかに自ら飛び込んでいったことは、シリアを知っている彼であってもやはり無謀だったのではないか。そう思えてならない。

しかも湯川さんを救いだせると本当に考えていたのか、私には正直わからない。後藤さんは昨年10月25日、日本にいる友人に「月末までに戻る」というメールを送っていたらしい。となると、短期間で湯川さんの救出が可能だと真剣に考えていたのか。

私はシリアにもイラクにも行ったことがない。近隣国ではトルコとエジプトまでである。危ういという点で少しばかり共通項があると思えるのは北朝鮮だ。首相や議員の訪朝団と一緒に行ったのではない。プライベートな訪朝である。

2011年に北京経由でピョンヤンに入ったとき、入国直後にパスポートを現地の人間にとられてしまうことを事前に聞かされていた。

韓国人の友人は「10億円もらっても私はいかない」と言った。それほど信用できない国だという。さらに他の友人は「拉致されてもおかしくない」とも口にした。確かにその危険性がないとは断言できなかった。

だが、滞在期間中にどこを訪ねるのかといった行動プランは出発前に8割方、できていた。実際、その通りに動いた。同時に、ピョンヤンに行ったからと言って北朝鮮に拉致された日本人を救い出せるとも、彼らがどこにいるかの情報を得られるとも思っていなかった。

ただ「もしかして自分が拉致されたら、、、」という危惧は滞在中、消えることはなかった。「まあないだろう」という期待でしかなかった。

北朝鮮とシリアでは危険度に大きな差があるが、後藤さんはイスラム国に拉致されたとしても、ジャーナリストとしてアリと思っていたのではないか。今年になるまでイスラム国に日本人が殺害されていなかっただけに、殺されることはないとの期待があったのではないか。

いまとなっては虚しい疑問である。やる方ない気持ちでいっぱいである。

ペンタゴンのダイエット:新孤立主義

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by the White House

ペンタゴンがダイエットをする?

過去10年以上、アメリカはアフガニスタンとイラクで多くの米兵の死傷者を出してきた。戦費もかさんでいる。戦争はもうたくさんというのが多くのアメリカ人の本音だ。

ペンタゴン(国防総省)もそのあたりをよく理解しており、本国のはるかかなたでの戦争はいい加減にして、そろそろダイエットしましょうという言い方が登場している。それが「The Pentagon is on a diet」という表現だ。

オバマは大統領になる前からアフガニスタン、イラクでの戦争を終わらせると言い続け、2011月末にイラクから完全撤退した。最近またイラク国内でのテロ組織による活動が活発化しているため、イラク政府はホワイトハウスに米軍の再派兵を依頼したが、いまのところ検討していないという。

オバマ本人だけでなく、政権内部の人間もどうやら中東問題への軍事介入はできるだけ控えたいらしい。こうした姿勢を米メディアは昨秋から「新孤立主義(New Isolationism)」と呼んでいる。

オバマ版の新孤立主義は前向きな思考の結果ではなく、「他人のことはもう知らない」的な態度による悲観的で消極的な心持ちからきているようだ。

となると、過去何十年も言われていたアメリカによる「覇権」というものとは縁遠くなる。

オバマ政権の任期終了まであと3年。アメリカは小さな巨人になりつつある。(敬称略)

文化が違うということ

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日本に届いた『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』誌の最新号を手にして、ハッとさせられた。

お馴染みのウィリアム王子とキャサリン妃が、アメリカン・カジュアルの代表ブランドJ.Crew(J.クルー)の服に身を包み、カメラの前に立っている。イギリス王室が特定ブランド、しかもアメリカのブランドに加担するような行動をとったのか?

よくできた写真なので、最初はそう思った。だがページをめくり、合成写真であることがわかる。

ここでJ.クルーの宣伝をするつもりはないが、11月1日にイギリス初の旗艦店をロンドンにオープンさせた。さらに2カ所の小売拠点を市内に開くとも発表。そこではイギリス王室御用達のシャツメーカー、トーマス・メイソンのシャツも取り扱われるという。

ただ王子と妃が合成写真の使用を認めたとは書かれていない。もちろん無断で彼らの顔をモデルの体に貼り付けたのだ。

日本で皇太子と雅子妃に同じことをすると、日本中からひんしゅくを買うだろう。だがイギリスをはじめ、ヨーロッパでは合成写真を大手メディアが掲載することは普通である。

すぐ横で仕事をしているスイス人記者に写真を見せて訊いた。

「普通のことでしょう。王室の人間だって、大統領だって対象になってしまう。それで何か問題でも?」

日本で同じことをするガッツのある雑誌も新聞もない。ガッツというより、皇室に対する心持ちが欧米と日本では大きく違うことが今回の合成写真の一件でよくわかる。

雑誌発売後すでに1週間がたつが、キャサリン妃から「いい加減にしてよね」といった話は出ていないし、英王室からのクレームもないらしい。

オバマの耳はスパイの耳?

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by Build (ビルト:ドイツで最大の発行部数を誇るタブロイド紙)

友人のドイツ人記者が送ってくれた『ビルト』の1面にでた合成写真。アメリカのスパイ活動は長年、世界中に及んでいる。ヨーロッパらしいパロディー写真。