血迷ったトランプ

過去2日ほど、米連邦議会ではトランプ政権の最後の一悶着と呼べる騒動があった。

選挙人投票の結果はバイデン氏の勝利であったが、何がなんでも「トランプ勝利」にもっていきたい熱狂的な支持者たちは、連邦議会のガラスを叩き割って議会内に侵襲。米TVの映像を見る限り、南部連合の旗を掲げた侵入者たちはいわゆる「レッドネック」で、あとさき構わずに行動してしまった輩たちだった。結局4人が亡くなる惨事となった。

from Twitter

トランプ氏は昨年末から、こうした熱狂的な支持者に対して暴動もあり得るという内容を仄めかしていた。そのため今、トランプ氏こそが暴動を扇動して無政府状態を求めた張本人であると糾弾されている。

議会に侵入したところで結果が覆るわけもなく、個人的には「トランプ氏は罷免されるべきサイコパス」だと考えている。同氏を支持していた共和党保守派の人たちも政権最後になってトランプ氏の血迷った言動に落胆し、支持率を落としたと読む。それにより、ジョージア州での上院決戦投票でも共和党は敗れ、2議席とも民主党に流れた。自業自得とはこのことである。

トランプの彫像が刻まれる?

from Trump’s twitter

いかにもトランプらしい発想である。米サウスダコタ州にあるラシュモア山に彫られている4人の大統領に加えて、「自分の彫像を足したい」というのだ。

ラシュモア山に彫られているのは左から初代大統領のジョージ・ワシントン、第3代トーマス・ジェファーソン、第25代セオドア・ルーズベルト、第16代エブラハム・リンカーン。トランプはツイッターで今日、「過去3年半で成し遂げた業績を考慮すると、たぶんどの大統領より(自分を加えることが)いいアイデアだと思う」とつぶやいたのだ。

実はこのツイートには前段がある。今年の独立記念日(7月4日)にトランプは同地を訪れて演説をしている。その時に同州のクリスティー・ノーム知事がトランプの功績を称えながら、あるレプリカをトランプに贈ったのだ。それが4人の大統領の横に「トランプらしき人」が加えられたものだった。

それに気をよくしたトランプは本当に実現するかもしれないと思い込んだようだ。だが、ラシュモア山国立記念公園の管理事務所は「もう彫ることはできません」とコメント。物理的に無理なのか、それともトランプだから無理なのか、真意は後者であるようにも思えるが、、、。(敬称略)

コロナ失業の現実:新型コロナ(26)

昨日、オンラインでワシントン・ポスト紙を読んでいると、新型コロナウイルスによって失業し、アパートを追い出された30歳の男性の記事がでていた。コロナは厄介な感染症であると同時に、経済破綻をもたらせもする。

首都ワシントン市内に住んでいたダニエル・ヴォートさん(30)はコロナに感染しているわけではないが、コロナの影響で勤務していた飲食店が閉店。4ヵ月間も収入がなかったことで家賃が払えなくなり、実家のあるニューヨークに戻ることにした。

失職中、ワシントンで仕事を探し続けたが見つからず、預金は減るだけとなり、ワシントン・ポスト紙の記者がインタビューした時には財布に10ドル(全財産)が残っているだけだった。銀行口座はゼロどころかマイナス。アメリカでは個人が当座預金を開いて小切手を発行するため、残高以上の金額を小切手に書き込んだ場合は不渡りを起こしてしまう。

市政府に失業保険の申請をしようとしても失業者が急増しているため、システムに登録されるまでに時間がかかる。申請者数は昨年同期比で5倍であると同紙は書いている。

ヴォートさんは生まれ故郷のニューヨークに帰るための資金もないため、父親に事情を話すと交通費として100ドル(約1万500円)を電送してくれた。ただ親子関係がいいわけではないので、実家に帰りたくなかった。実家はマンハッタンのマンションだが、決して裕福というわけではなく、彼が戻っても自分の部屋があるわけではない。父親は「寝床はカウチだからな」とヒトコト。

彼のオプションとしては「路上で寝るか、オヤジのところ」しかなかったので、仕方なく実家に戻ることにした。ニューヨークに戻る直前、失業保険の担当者から初めて電話があった。だが申請に不備があり、もう1度申請し直さなくてはいけないと告げられた。

ニューヨークに着いた時、財布の中には1ドル札しかなかった。

「誰も僕のことを好きじゃない」

米政府は新型コロナウイルスの感染拡大を抑制できず、効果的な手立てをとれていない。 米国立アレルギー感染症研究所 のファウチ所長は抑制できていない事実を素直に語ることで、責任の一端が自分にあることを認め、逆にこれまで以上に信頼度が増している。

一方、トランプ大統領は問題を収束させるだけの指導力を発揮できないだけでなく、ファウチ氏からもソッポを向かれて、いじけたコメントをツイッターで発信。それが「誰も僕のことを好きじゃない」。

参考:CNNのラジュ記者のツイート。

カニエ・ウェストはどこまで本気か:2020年米大統領選(35)

世界一のラッパーといわれるカニエ・ウェスト氏(43・Kanye West)が米独立記念日の4日、ツイッターで大統領選への出馬を表明した。

文面を読む限り真剣に出馬を考えているように見うけられるし、ドナルド・トランプ大統領に「あと4年任せるわけにはいかない」とのメッセージが内包されているようにも思える。

実は、ウェスト氏は突発的に大統領選への出馬を表明したわけではない。というのも2015年、公共の場で2020年大統領選にでたいと述べたことがあり、何も驚くべきことではない。35歳以上のアメリカ人であれば、誰にでも出馬する権利はある。

from Pinterest

ましてやトランプ人気が下落し、対抗馬のジョー・バイデン候補の全米レベルの支持も圧倒的と言えるまでにはいたっていない。いわば「つまらない選挙」の年なので、若者から圧倒的な支持を集められそうなウェスト氏が加われば、選挙への関心が高まるし、多くの票が集まることが予想される。

すでに民主・共和両党の予備選はほとんど終わっているため、両党からの出馬はない。あとは独立候補としての道を歩むことになる。ウェスト氏が本気ならば、各州で署名活動を行って投票用紙に名前を載せなくてはいけない。氏の総資産は13億ドル(約1400億円)と言われており、献金活動をしなくとも11月まで戦うだけの資金はある。

政治家としての経験がないので、有能な参謀を集めて高質な政策を打ち出さなくてはいけない。政治的リーダーシップも問われるし、本人の本気度がすぐに問われるだろう。今回のニュースが単なる話題づくりだけで終わらないことを祈りたい。