アメリカは世界のゴミ捨て場だ!

こう発言したのはドナルド・トランプ氏である。どういうことかといえば、大統領選の遊説先であるアリゾナ州テンピ市で24日、外国からの移民について言及し、増え続ける米国内の移民によって米社会はかき乱されており、すでに「ゴミ箱化している」と述べたのだ。

以前から「反移民」の立場であるトランプ氏は同日、「移民が国内に病気をもたらし、米国の血(Blood)を汚している」とまで発言。その元凶をつくったのは民主党の政治家であり、大統領選のライバルであるカマラ・ハリス氏こそが「意図的に国境を解体し、門戸を開いた」と糾弾した。

今年の大統領選の争点の一つがまさにこの移民問題で、トランプ氏は共和党保守の立場を堅持しているので反移民だが、ハリス氏は米国という国家は移民によって成立しているという価値観で移民擁護派である。

ただトランプ氏の最近の発言はより先鋭化しており、国外から流入してきた移民によって「米社会の略奪、強姦、虐殺が行われている」とまで言ってのけた。さらにこうした動きを「我が国への侵略」と受け取り、民主・共和両党の対立をより深める結果になっている。

移民についてはすでに多くの研究論文がでており、移民と犯罪の増加に密接な関連性は見いだせないとの報告もある。また移民が法を犯す可能性は米国生まれの米国人よりも低いという研究結果もある。トランプ氏にとってはハリス氏との違いを際立たせ、共和党保守派の心を刺激する意味で、この移民問題は格好の題材であることは間違いない。

米大統領選:デッドヒート  

米大統領選の投開票日(11月5日)まで残り3週間。ドナルド・トランプ氏(共和党)とカマラ・ハリス氏(民主党)は終盤になってもデッドヒートを繰り広げており、勝者を予測することはほとんど不可能といっていい。全米に割り振られた538人の選挙人の過半数(270)を奪った候補が勝つのだが、今年は269対269の互角になる可能性もささやかれており、最終盤になっても接戦が繰り広げられている。

複数の世論調査では、9月までハリス氏は支持率で数パーセントのリードを保っていたが、ここに来てわずかに人気が低下し、今はほぼ互角になっている。たとえばNBCニュースの9月の世論調査では、ハリス氏は49%でトランプ氏が44%。だが今月の数字ではハリス氏とトランプ氏は48%で並んでいる。

いくつか理由がある。一つ目は米有権者が過去数年、ほぼ同率で共和党と民主党に分断していることだ。もちろん州によって数字は違うが、全米50州をならすと共和党と民主党の支持率は「フィフティー・フィフティー」に分かれている。長い間、大統領選を追っているが、ここまでの接戦はなかったかもしれない。

二つ目は、かつては選挙資金額と得票数に強い相関関係があったが、インターネットが選挙活動に使われはじめてから、カネをいくら集めてもそれが直接勝利につながらなくなった。2016年の「ヒラリー対トランプ」の戦いが好例で、ヒラリー氏の方が2.7倍も選挙資金を集めたが、負けるのだ。それまではより多くのカネを集めた候補が勝っていたが、そうしたルールは通用しなくなった。今回もハリス氏の方がトランプ氏よりも3倍近いカネを集金しているが、支持率を見るとほぼ互角で、誰も結果を読めない。

11月5日はいったいどうなるのだろうかーー。

トランプ選対からのメッセージ

当ブログで以前にも記したが、私は米大統領選の情報を入手する目的で、ドナルド・トランプ氏の選挙対策本部に名前を登録している。定期的にいろいろな情報を送ってくれるが、今朝は下記のようなメールが送られてきた。

CONFIDENTIAL REQUEST FROM TRUMP   Friend, I need your OFFICIAL ENDORSEMENT before my FINAL and IMPORTANT mid-month fundraising deadline!   Kamala has D-list celebrities, Hollywood “elites,” and liberal billionaires!   I just need you to respond by the end of the day: ENDORSE TRUMP >

(トランプ大統領からの極秘要請: 今月中旬が期限になっている重要な資金調達目標があります。あなたのご支持が是非とも必要です! カマラ・ハリス氏には、Dリストの著名人やハリウッドの「エリート」、リベラル派の億万長者がついているのです)

I also really hope you can donate weekly to the MAGA Movement all the way through Election Day.   It would mean the world if you can afford to give weekly. If you can’t, don’t sweat it and make sure you select “donate once.”   Thank you

(選挙日まで、毎週MAGA(Make America Great Again =アメリカを再び偉大に)運動に寄付していただけることを願っています。 毎週寄付していただける余裕があれば、それは世界にとっても意味のあることなのです。もしできない場合は「donate once(1度だけ寄付) 」を選択してください。 ありがとうございまます)

いまでもハリスとトランプ氏の支持率は拮抗しており、どちらかが大きく抜きん出ているわけではない。だが選挙資金の集金額をみると、ハリス氏の選対は10月9日、集金額が10億ドル(約1500億円)を超えたと発表。トランプ氏の方は半分にも達していないため、こうした呼びかけが私のところにも回ってきたのだ。

心配ご無用

イーロン・マスクとトランプ

米フォーブス誌は10月1日、2024年版の米富豪のランキングを発表した。トップに来たのはテスラ社の最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏(53)で、資産額は5兆4000億ドル(約778兆円)という途方もない額だった。ここで注目したいのはマスク氏の資産ではなく、彼が推す大統領候補である。

Photo courtesy of Wikipedia

すでに報じられているが、マスク氏はカマラ・ハリス氏(民主党)ではなく、ドナルド・トランプ氏を支援している。多額の献金も行っており、11月には何としてもトランプ氏に大統領に返り咲いてほしいと願っている。マスク氏は9月29日に自身のX(旧twitter)で、「(トランプ氏を当選させることが)民主主義を脅かすどころか、民主主義を救う唯一の方法なのだ」と投稿している。

この投稿には少し説明が必要だろう。「民主主義を救う・・」とは、ハリス氏が大統領になれば多数の不法移民が入国することになり、米社会は早晩、収拾がつかなくなって破綻する可能性が高いが、トランプ氏が大統領になれば不法移民の強制送還を強化するので、救われるはずだとの見立てである。

さらにトランプ氏は、当選した場合、マスク氏を新政権で起用すると述べているため、一部の共和党支持者は盛り上がりをみせている。少なくとも全米一の資産家が「トランプ支持」を公言したことで、追随者がでてきても不思議ではない。トランプ氏は政府内に効率化を促進する新しい委員会を起ち上げる予定で、そのトップにマスク氏を充てるつもりだという。

いまだにどちらに投票するか決めかねている有権者にとって、このニュースはトランプ氏の追い風になるだけに、今年の選挙は本当にどちらにころぶかわからない。

米大統領選:11月5日の予想図

今年11月の大統領選で、ドナルド・トランプ氏(共和党)が勝つか、それともカマラ・ハリス氏(民主党)が勝つのか、現時点ではほぼ互角の戦いなので、なんとも言えない。

ご承知のとおり、大統領選は州ごとに人口比で割り当てられた選挙人(計538)を積み重ねていく戦いで、合計が過半数の270人に達した時点で勝者が決まる。下記の地図は大統領選に焦点をあてたサイト「270towin」が公表している投開票日(11月5日)の予想図で、赤がトランプ、青がハリス、薄茶色が激戦州になっている。ここでもほぼ互角で、激戦州をどちらが獲るかはわからない。

ただ、下記の地図をご覧いただきたい。この地図は2016年の大統領選でトランプ氏がヒラリー・クリントン氏を破って勝った時の地図である。選挙前はヒラリー氏が有利といわれ、実際の総得票数もヒラリー氏の方がトランプ氏よりも多かったが、選挙人システムのからくりで破れるのだ。

2016 Presidential Election Actual Results - 270toWin


さあ、今年はどういった流れになるのかー。