2020年米統領選(23):あと3週間で予備選がスタート

日本時間15日午前、米アイオワ州デモインで予備選前最後の討論会が行われた。

民主党候補6人が顔を揃えた討論会のテレビ中継を観た。6人というのはジョー・バイデン、バーニー・サンダーズ、エリザベス・ウォーレン、ピート・ブダジャッジ、エイミー・クロブシャー、トム・ステイヤーの各氏である。実際に代表候補になる可能性があるのはバイデンからブダジャッジまでの4人だろう。

今日の討論会ではバイデンが豊富な外交経験と見識を示して一歩リードしていたが、米軍がイラクとアフガニスタンに留まるべきかという質問では、6人の意見は割れた。バイデン、ブダジャッジ、ステイヤー3氏は駐留しつづけるべきとの考えだが、サンダーズ、ウォーレン両氏は撤退すべきとの主張だ。

貿易政策でも候補の意見は対立している。トランプが自画自賛しているUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)について、バイデン、クロブシャー、ステイヤーは賛成の立場で、ブダジャッジとウォーレンは修正が必要としながらも新NAFTAといわれる貿易法案に賛成している。唯一サンダーズが反対で、トランプ政権が主導した法案内容よりも「よりベター」な条約を模索すべきと言い続けている。

一般有権者が候補に求めるものはさまざまで、政策よりもトランプに本当に勝てるかどうかを重視する人もいれば、より安全な世界を実現できるのは誰かと問う人、また健康保険政策を何よりも大切にする人、さらに環境問題への良策を判断基準にする人など多岐にわたる。

私は今年で大統領を追って28年になるが、毎回新たな発見や驚きがある。今回も予期せぬ展開があるのだろうと思って冷静に眺めることにしている。(敬称略)

今年、注目すべき米関連ニュース3点

1点目: アメリカとイランは戦争に突入するのか

昨日、米軍がドローンを使ってイランの司令官を殺害したことで、両国関係は一気に緊張の度合いを高めた。昨年12月28日にアメリカの民間業者がイラン・シーア派によって殺害されたため、トランプが報復攻撃をしかけたのだ。

だが両国の軋轢は昨日、今日に始まったわけではない。2018年5月にトランプがイラン核合意から一方的に離脱し、イランへの制裁と圧力を強めたことでイランは反発。その後、アメリカの同盟国であるサウジアラビアがイランに攻撃される事件があり、すでに「ドンパチは始まっている」と表現する関係者がいるほどだ。

2点目: アメリカと北朝鮮は戦火を交えるのか

金正恩が昨年末、ミサイルのクリスマス・プレゼントをアメリカに贈るかどうかが話題になった。長距離弾道ミサイルを使うかのどうか、さらにトランプがどう北朝鮮を迎え撃つのか。2020年、急速に高まる北朝鮮の脅威で書いたように、最悪の事態も想定しておく必要があるだろう。 

3点目: トランプは再選されるのか

2月3日から予備選が始まる。私は同月7日からアメリカに飛び、ニューハンプシャー州予備選を取材予定だ。夏の党大会までは民主党の候補者選びが話題の中心になる。トップ4(バイデン、サンダーズ、ウォーレン、ブダジャッジ)の誰かに決まるだろうが、私はブダジャッジにもっとも大きな可能性があると思っている。

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バイデンにはキレがないし、ブルームバーグ(4人の中に入らない)には広範な支持が集まっていない。サンダーズとウォーレンは左に寄り過ぎている。現在37歳の若さが抜きん出る気配を感じる。(敬称略)

2020年米統領選(22):圧勝の時代はもう来ない

またアメリカ大統領選の話で恐縮だが、来年の選挙でトランプはかなり善戦すると予想されるし、再選「してしまう」可能性もある。

アメリカ経済は決して悪くないのでトランプにとっては追い風で、最新の経済指標をみてもインフレ率や失業率は良好で、失業者が町にあふれるといった状況ではない。全米の有権者のほぼ半数が「あの」トランプを支援する勢力図は来年も変わらない。

前回選挙(2016年)の選挙結果を地図でご覧いただきたい。総投票数ではなく選挙人制度による州ごとの戦いなので、赤(共和党)がトランプの獲った州で、青(民主党)がヒラリーである。総得票数ではヒラリーの方が多かったが負けた。

ザックリした表現では「真ん中はほぼ赤」に染まり、トランプ支持がいかに広範であるかがわかる。もちろん細部に目を配ると、トランプが勝った州でも激戦になった所も多く、さらに性別や人種、年齢層によってもばらつきがある。

次に下の地図をご覧いただきたい。ほとんどが青で染まっている。これは1964年大統領選でリンドン・ジョンソンが勝った時の勢力図だ。ディープサウスの5州とアリゾナだけが共和党バリー・ゴールドウォーターの獲った州である。(敬称略)

ジョン・F・ケネディが暗殺されたあとの選挙で、民主党への期待が高かったこともあり、約1500万票もの差がついた。過去20年ほどの「南部・中西部はすべて保守」という固定観念が覆される勢力図であるが、逆に1984年のレーガン再選時では、ミネソタ州と首都ワシントンを除いて全米は真っ赤に染まった。

来年は16年選挙と同じような色合いになるため、僅差の戦いが再現されるはずだ。

2020年米統領選(21):トランプが1日にツイッター82本

3日前に、マイケル・ブルームバーグが民主党レースに出馬するかもしれないと書いた。翌日、ブルームバーグはアラバマ州予備選に参戦するための登録をしたとのニュースが伝わり、本気だったことがわかった。これで民主党レースは混戦になる。面白い選挙になりそうである。

トランプの方は相変わらずツイッターを使ってメッセージを発信し続けている。米時間10日、なんと82本のツイート(リツイートを含む)をネットに載せた。82本である。内容は民主党の弾劾審査に対する「つぶやき」ならぬ「批判、攻撃、憤懣」がほとんどで、トランプがいかにナーバスになっているかの表れでもある。

今年5月、ほとんどのツイートはトンラプ自身ではなく、ツイッター担当のダン・スカビーノ氏が書いているという記事を書いた。同氏はいま誰よりもトランプと長い時間を過ごしていると言われており、トランプの手というより指になってメッセージを発信しまくっている。

ツイートを読む支持者は「そうだ、そうだ」との感想を抱くが、反トランプ派はすでに「この大統領、大丈夫か」のレベルにきており、米社会は来年の選挙にむけてより二極化を深めていくことになる。

2020年米統領選(20):ブルームバーグ出馬か

日本時間8日、朝一番にハッとさせられたネットニュースはマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が2020年大統領選に「出馬するかもしれない」との報道だった。

以前から出馬の噂はあったが、出馬宣言はしていなかった。今朝のニュースもまだ「正式な出馬」ではなく、アラバマ州予備選に参加する登録準備をすすめているという内容だ。同州の予備選への出願締切が米時間11月8日であるため、動きが見られたというのだ。

もしブルームバーグが出馬すれば、民主党レースはシェイプアップされる。今の4強(バイデン、ウォーレン、サンダーズ、ブダジャッジ)の中に入ると、政策論争はもっと活発化し、現実路線に有権者の目がむくと思われる。

ただ年齢が77歳で、ブダジャッジ以外は70歳以上ということになり、「またおじいちゃんか」という印象は否めない。いまアイオワ州とニューハンプシャー州でブダジャッジの支持が拡大しているのは若返りの期待でもあり、今後3ヵ月で情勢が変わるかもしれない。

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