バイデン対トランプ:Neck and neck

11月5日の米大統領選の投票日まで、5カ月を切った。民主党の現職バイデン大統領(以下バイデン)と共和党のトランプ氏(以下トランプ)の支持率は過去数カ月、ほぼ互角でNeck and neck(接戦)である。世論調査によってはトランプが数パーセントのリードを維持しているかと思えば、他の調査会社の数字は現職バイデンが頭ひとつ出ていたりする。

CBSニュースとYouGovの共同世論調査(9日発表)によると、トランプを支持すると回答した人は50%であるのに対しバイデンは49%。またヤフーニュースとYouGovの最新共同調査によると、バイデンが46%でトランプは44%という数字で、拮抗している。

以前にも当欄で記したが、上記の数字は有権者全体をならした時のもので、支持層によって数字には大きなバラつきがある。黒人だけの支持率を眺めると、バイデンが81%を奪うがトランプは18%でしかない。ただ65歳以上の有権者をみると、58%がトランプを支持し、バイデンは41%である。

いずれにしても、11月の投票日までほぼ互角の争いが続くと思われ、今年の選挙はどちらが勝つかを読むのは難しい。今後、第3の候補である弁護士のロバート・ケネディ・ジュニアが支持を拡大させて当選するという可能性はかなり低いので、やはり「おじいちゃん対決」を見守るしかないだろう。

老害が忍び寄るバイデン

新しいニュースではないが、このところ米メディアはバイデン米大統領(以下バイデン)の認知能力に強い懸念を示している。現在81歳のバイデンは、人の名前を混同したり、すでに他界した人を存命であると取り違えたり、メモを読んでいる時に急に長い間黙ってしまったりと、あきらかに高齢であるがゆえの言動が頻繁にみられるようになった。

そうした事態を表面化させないために、ホワイトハウスは最近メディアとのインタビュー機会を故意に制限しているといわれる。今年4月末までにバイデンが行った記者会見やインタビューの数は過去数十年、どの大統領よりも少ない。

同時に、連邦議員たちとの会合も減っている。大統領に就任した年には、議員との会合は年30回以上も行われたが、2年目はおよそ20回に、そして3年目には10数回に減った。

仮に今年11月の選挙で再選を果たしたとしても、次の4年間、大統領職をつつがなく全うできる可能性は低いだろう。バイデンはそうしたことを自身で解らなくてはいけない。そうした判断ができないということ事態、もうすでに大統領としては適任ではないと言えるのではないか。今からでも遅くない。考え直すべきだろう。

米大統領選:より多くの資金を集めるのはどっち

米大統領選挙はこれまで、「より多くの選挙資金を集めた候補が勝つ」と言われてきた。それほどカネとホワイトハウスには密接なつながりがあった。カネで大統領職が買えるわけではないが、1988年の大統領選から2016年までの30年間、ライバル候補よりも多くの資金を集めた候補が勝ってきた。例外はない。

ただ2016年、ある人物がそのジンクスを破る。それがドナルド・トランプだった。同年の大統領選はトランプ対ヒラリーの戦いで、トランプの選挙資金総額はヒラリーが集めた額のほぼ半分だったが、トランプが勝つのである。それまでの選挙であれば、トランプが勝つ可能性は極めて低かったはずだが、、、。

米大統領選は日本よりもはるかに自由闊達に選挙活動を行える。それはテレビやラジオ等を使った政治広告費に制限がないことから、集めた選挙資金を無尽蔵に使うことができるためだ。テレビの政治CM本数にも制限がなく、より多くのCMを放映することで、その候補の名前や政策などを視聴者に伝えられる。獲得できる票数は使途した選挙資金にほぼ比例する形で伸びるため、より多くの資金を集めた候補が勝つという、ある意味で単純な流れがあった。

ところが、インターネットがそれを変えた。多額の資金を割かなくとも、ネット上で有権者に候補のよさを伝えられれば、テレビの影響力を凌駕できる。それを成し遂げたのがトランプだった。

今年の選挙ではそのトランプがまた復活する可能性がある。現職バイデンの4月までの選挙資金は約1億8200万ドル(約285億円)であるのに対し、トランプ陣営の方は約1億2400万ドル(約195億円)でしかない。11月の本選挙までトランプは巻き返しを図って集金に力を入れてくるだろうが、仮にトランプが資金面で遅れをとっても、2016年を再現できれば・・・。(敬称略)

米大統領選:勝負になるのは6州

米国の大統領選が総得票数ではなく、選挙人の数で争う選挙であることは多くの方がご存じかと思う。18歳以上の国民であれば投票の資格があり、実際に投票する時には、今年であればバイデンかトランプといった名前を選ぶが、そのあとが日本とでは違う。

全米50州に割り当てられた選挙人は人口比によって数が違う。人口のもっとも多いカリフォルニア州には55人が、テキサス州には38人が、人口の少ないバーモント州やモンタナ州にはそれぞれ3人が割り当てられており、50州を合わせると538人になる。

選挙では勝った州の選挙人を積み重ねることで、538人の過半数である270を奪った時点で次期大統領の誕生という流れになる。選挙であるので、結果はフタを開けるまでわからないのだが、歴史的に多くの州がリベラル州(民主党寄り)か保守州(共和党寄り)にわかれているため、カリフォルニア州がトランプに流れることはまずありえないし、テキサス州がバイデンにいくことも考えにくい。

ただ年によっては支持率の高い候補が圧勝することもある。たとえば1964年選挙ではケネディ亡き後、リンドン・ジョンソンが44州を奪ってゴールドウォーターを制したこともあった。同年の選挙人数はジョンソンが486人、ゴールドウォーターが52人という大差だった。

だが今年はバイデン・トランプの支持率は肉薄しており、いくつかの激戦州が勝敗のカギを握ることになりそうだ。現時点では6州がキャスティングボードを握るといわれている。6州というのは、アリゾナ、ウィスコンシン、ジョージア、ネバダ、ペンシルベニア、ミシガン。ノースカロライナも入れて7州としているところもある。今年の総有権者数は約2億4400万人だが、実際に影響力をもつのは限られた州の有権者ということになる。さあ、あと半年である。(敬称略)

不人気同士の接戦

米大統領選挙の投票日(11月5日)まで約半年。バイデン・トランプ両氏の支持率はほぼ互角で、バイデン氏が現職大統領だからといって大きくリードしているわけではない。

首都ワシントンにある独立調査機関「ピュー・リサーチ・センター」が4月24日(米時間)に公表した世論調査によると、バイデン氏に投票しますと回答した人は48%であるのに対しトランプ氏は49%。拮抗が続いている。

興味深いのは、白人の56%がトランプ支持であるのに対し、バイデン支持は42%である点だ。逆に黒人の支持率はバイデン氏が77%だが、トランプ氏はたった18%でしかない。同様にヒスパニックやアジア系有権者の多くはバイデン支持に回っている。

ただ、回答者は高齢の両氏に対して不安を抱いてもいる。65%の回答者はバイデン氏の健康状態を憂慮する一方、59%はトランプ氏の倫理観に疑問を投げている。さらに、およそ半数の49%がバイデン・トランプ両氏ではなく別の候補者を望んでもいる。いわゆるダブルヘイター(大統領選:鍵をにぎるダブルヘイター)が今年の選挙ではいままで以上に多いのだ。

さらに現職バイデン氏は「大統領として相応しくない」と回答している人も全体の62%もおり、今年の大統領選は「不人気同士の接戦」と言えそうだ。