2020年米統領選(21):トランプが1日にツイッター82本

3日前に、マイケル・ブルームバーグが民主党レースに出馬するかもしれないと書いた。翌日、ブルームバーグはアラバマ州予備選に参戦するための登録をしたとのニュースが伝わり、本気だったことがわかった。これで民主党レースは混戦になる。面白い選挙になりそうである。

トランプの方は相変わらずツイッターを使ってメッセージを発信し続けている。米時間10日、なんと82本のツイート(リツイートを含む)をネットに載せた。82本である。内容は民主党の弾劾審査に対する「つぶやき」ならぬ「批判、攻撃、憤懣」がほとんどで、トランプがいかにナーバスになっているかの表れでもある。

今年5月、ほとんどのツイートはトンラプ自身ではなく、ツイッター担当のダン・スカビーノ氏が書いているという記事を書いた。同氏はいま誰よりもトランプと長い時間を過ごしていると言われており、トランプの手というより指になってメッセージを発信しまくっている。

ツイートを読む支持者は「そうだ、そうだ」との感想を抱くが、反トランプ派はすでに「この大統領、大丈夫か」のレベルにきており、米社会は来年の選挙にむけてより二極化を深めていくことになる。

2020年米統領選(20):ブルームバーグ出馬か

日本時間8日、朝一番にハッとさせられたネットニュースはマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が2020年大統領選に「出馬するかもしれない」との報道だった。

以前から出馬の噂はあったが、出馬宣言はしていなかった。今朝のニュースもまだ「正式な出馬」ではなく、アラバマ州予備選に参加する登録準備をすすめているという内容だ。同州の予備選への出願締切が米時間11月8日であるため、動きが見られたというのだ。

もしブルームバーグが出馬すれば、民主党レースはシェイプアップされる。今の4強(バイデン、ウォーレン、サンダーズ、ブダジャッジ)の中に入ると、政策論争はもっと活発化し、現実路線に有権者の目がむくと思われる。

ただ年齢が77歳で、ブダジャッジ以外は70歳以上ということになり、「またおじいちゃんか」という印象は否めない。いまアイオワ州とニューハンプシャー州でブダジャッジの支持が拡大しているのは若返りの期待でもあり、今後3ヵ月で情勢が変わるかもしれない。

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2020年米統領選(19):日本の新聞報道

いよいよ来年の投開票日(2020年11月3日)まで1年をきった。

過去数日、日本の新聞報道も大きくなってきている。朝日、読売、毎日、日経各紙はいずれもアメリカにいる特派員を各地に派遣して、トランプ対民主党候補の戦いだけでなく、アメリカ社会が抱える問題にも光をあてている。

ただ各紙を読んでいて、「これはどういうことか」と思うことがあった。それは朝日、読売、毎日の記者が同じ日に同じ場所に取材に行っていたのだ。

ミシシッピ州トゥペロという人口3万8000人の町である。実は11月1日、トランプが同町で政治集会を開いて演説をしている。新聞社側はトランプが話した内容とディープサウスの有権者がどう捉えたかを報道しているが、なぜ3社は同じ場所での演説を取材したのだろうか。

考えられるのは、3社の記者(たぶんワシントン特派員)が一緒に取材に行ったということだ。1台の車に同乗し、仲良しこよしだったかもしれない。もちろん、偶然に3社の特派員が同じ場所で取材をしたということもある。来年の投開票日までちょうど1年ということもあり、この時期に狙いを絞ったのかもしれない。

だがトランプは1カ月間で多い時には10回ほども他州で演説を行う。なぜ他の場所ではなく同地だったのか。考えられるのは、ワシントンにフォーリン・プレス・センターという外国特派員の世話をする機関があり、そこがプレスツアーを組んだ可能性がある。

それにしても相変わらずの横並び報道には驚いてしまう。しかも3日の紙面では、朝日と読売がまったく同じトランプの写真(AP)を使っているのだ。他にいくらでも取材できる場所と機会がありながら、敢えて同じものに食いついていく同族意識は時代が令和になっても変わることはない。

私はこういう横並びの取材がもっとも嫌いなので、愕然としてしまう。どうりでほぼ30年間、ずっとフリーランス・ジャーナリストでいるわけである。(敬称略)

2020年米統領選(18):オルークの撤退

また一人、選挙レースから候補が脱落した。ベト・オルーク(47)。

今年3月に大統領選に出馬表明した元連邦下院議員は、そのルックスからJFケネディの再来とも騒がれたが、8カ月弱で夢を諦めることになった(2020年米統領選(8))。

『Vanity Fair』2019年4月号

本人の口からすぐに辞退の真意が語られるとは思えないが、「民主党ベスト10候補」の1人だっただけに、どうして他の主要候補のように支持層を拡大できなかったのか個人的には真相を知りたいところだ。

ここまでの選挙戦で語った内容を聴く限り、アメリカ社会に拡大している格差を本当に憂いていた候補だった。だが、選挙資金が思うように集まらず、選挙活動がスムーズに進んでいなかった。

さらに当初は選対本部長もおらず、ポールスター(世論調査員)を持たなかったことで、支持率も低迷したままだった。過去10年以上、大統領選でポールスターの分析なしで全米各地で遊説をしている候補はいない。たとえば、全米で最初に予備選(コーカス)が行われるアイオワ州に行く前に、どういった政治思想の有権者がいて、どういう内容の話をすれば市民の心をつかめるかを知らずに現地入りする候補はいない。そうした事前情報を調査して提示するのがポールスターだ。

しかしオルークは肌感覚で聴衆の反応を知ろうとしていた。いくら有段者の空手家であっても、相手が銃を2丁もっていたら敵わないように、オルークは潔く、わざと武器をもたずに闘いを挑んでいったかのように映る。

まるで、それが彼の美学であったかのようにー。

2020年米統領選(17):政治家というもの

前回、「米大統領選」のテーマで書いた時、バイデンの出馬理由について記した。本人は人種問題の亀裂が深まってきたことを理由にあげ、「アメリカという国の魂を誰かが回復させないといけない」とテレビで話した。

綺麗事のようにも受け取れるし、アメリカの社会問題に真剣に取り組む姿勢でいるかにも思える。バイデンの本音は本人と周囲にいる少数の人にしかわからないのが現実だろう。アメリカ国民は今後1年かけて、その真意を探ることになる。

トランプの息子ハンター・バイデンに絡むウクライナ疑惑により、バイデンの民主党レースでの支持率は過去数週間、トップの座からずり落ちている。世論調査によっては依然としてトップのところもあるが、上院議員エリザベス・ウォーレンが1位にきている調査結果もある。

ただ来年11月の本選挙まで1年以上も月日があるので、現時点での1位、2位というのは参考程度にしかならないと思った方がいい。来年2月から始まる予備選では、別の候補が急浮上する可能性もある。過去7回、大統領選を取材してきて、いまの段階で言い切ることの愚かさを知っているつもりだ。

トランプについては、再選を目指す現職大統領として共和党の指名を獲得する(共和党代表になる)ことはほぼ確実だが、ウクライナ疑惑が今後深度を増し、違法行為があったかを弾劾プロセスで問われるかどうかが焦点になる。

それよりも先日、あらためて政治家たちが自分たちのことしか考えていないと思える事があった。トランプの弾劾を支持するかしないかで、それは表面化した。

連邦下院(定員435名)は現在、民主党が過半数を占めており235名。共和党が198名。無所属と欠員が1名ずついる。共和党議員の中にはトランプの言動に疑問を持ち、ウクライナ疑惑において、ここまでで入手できる情報だけでもトランプは「十分に弾劾にあたいする」と考える議員がいても不思議ではない。いや、いなくてはいけない。

だがニューヨーク・タイムズが先週、調べた結果では共和党下院議員でトランプの弾劾を支持する人は「ゼロ」だった。態度を保留した議員が14名いたが、最初から弾劾にゴーサインを出した人はいない。

逆に235名の民主党議員のうち弾劾支持が227名で、8人が弾劾すべきでないとの回答だった。この8人はある意味で、当件を真剣に熟慮して党の方針よりも自身の判断を優先させたという点で稀有な例である。

本来ならば、トランプの弾劾という重要な問題では党利党略の政党政治から抜け出て、国民から選ばれた連邦議員として、ダメなものにははっきりと「ノー」と言えなくては政治家としての存在意義はない。

共和党議員で、トランプを敵にまわすと自分の政治生命が危うくなることはわかるが、それは政治家として本来すべき職務をしていないことになる。真実に目をむけて行動を起こしてない政治家がいかに多いかの証明にもつながる。アメリカの連邦議員、、、こんなものである。(敬称略)