次期大統領選の候補者

ご存じの方も多いかと思うが、私は長い間、米大統領選を取材してきた。次の大統領選は2024年11月だが、来年になると、米メディアは選挙報道を増やし始める。というのも、日本の選挙と違って大統領選には選挙活動期間が設けられていないため、次々と出馬表明する候補が出てくるからだ。

すでにトランプ前大統領(76)は出馬表明をしているが、当ブログでも書いたように(トランプ氏が再び大統領選に)、私は彼にはもう当選のチャンスはないと思っている。共和党からは他に、フロリダ州のロン・デサンティス知事(44)が参戦してくると思われるし、ジョン・ボルトン元大統領補佐官(76)も興味を示している。あとはテキサス州のテッド・クルーズ上院議員(52)、マイク・ペンス前副大統領(63)も出馬の可能性がある。

民主党からは現職ジョー・バイデン大統領が再選を目指すと思われるが、本人はまだ正式に「ゴーサイン」をだしていない。現職なので、焦る必要もないのだが、再選への表明を遅らせるということは「再選辞退」というオプションも十分に考えられる。個人的には、今年11月で80歳を迎えた人であり、一期だけで勇退した方が本人にとっても国家にとっても得策なのではないかと思っている。

予備選最初の州がサウス・カロライナに

ほとんどの日本人にとっては関係ないことかもしれないが、長年アメリカの大統領選挙を追っている私としては「ちょっとしたニュース」なのである。

というのも、2024年米大統領選の予備選で、最初に行われる州がこれまでの中部アイオワ州からサウス・カロライナ州に変更になりそうなのだ。私が大統領選を実際に取材するようになったのは1992年である。アイオワ州は1972年から全米50州の中では最初に予備選(実際はコーカス)を行ってきており、その結果が残りの州に少なからず影響を与えることから、候補たちはアイオワ州を重視してきた。

だが民主党全国委員会は24年から、サウス・カロライナ州を最初の予備選州にすることを承認したという。というのも、アイオワ州やニューハンプシャー州といったこれまで予備選の初期に行われた州の大多数の住民は白人で、有色人種からより多くの票を期待できるバイデン氏としては「勝ち」の可能性を上げたかったのだろう。

実際、アイオワ州での黒人の比率は4.3%でしかないが、サウス・カロライナ州での黒人比率は26.4%。バイデン氏は先月80歳になり、2年後の再選に本当に挑むのかどうかはまだわからないが、少なくとも勝てる環境づくりはしておこうということなのだろう。

予定では2024年2月3日がサウス・カロライナ州、6日にニューハンプシャー州とネバダ州、13日ジョージア州とつづく。個人的には、バイデン氏は退いて若くて有能な人物に任せるべきだと考えている。

トランプ氏が再び大統領選へ

今日(16日)正午に、ある人からメールが送られてきた(下記)。ドナルド・トランプ氏である。

『Yoshio,

I am proud to tell you that I just announced from Mar-a-Lago that I am officially running for President of the United States.

It is with your help that:

WE WILL MAKE AMERICA POWERFUL AGAIN.
WE WILL MAKE AMERICA WEALTHY AGAIN.
WE WILL MAKE AMERICA STRONG AGAIN.
WE WILL MAKE AMERICA PROUD AGAIN.
WE WILL MAKE AMERICA SAFE AGAIN.
AND WE WILL MAKE AMERICA GREAT AGAIN!

以前にも書いたが、私は取材目的でトランプ氏のメールアドレスの中に入れてもらっているので、よく彼から連絡がくる。今日の内容は待ちに待った「大統領選への出馬」の連絡だった。出馬の意向はすでに報道されていたが、今日、正式に出馬表明となった。

米国の大統領選は選挙期間が定められていないし、選挙資金もいくら集金しても構わないので、活動期間が長ければ長いほど資金を多く集められ、自分を売り込むことができる。

ただ複眼的にトランプ氏の再選の可能性を探れば探るほど、当選のチャンスは低いと言わざるを得ない。もちろん選挙なので断言はできないが、当選の可能性はかなり低いはずだ。人間性、政治家としての資質、将来性、人望、どれをとっても合格ラインには届かない。それでもしばらく注視しなくてはいけないし、していこうと思っている。

2024年大統領選:バイデン対トランプ?

次の米大統領選(2024年)まであと3年ほどあるが、米メディアはすでに次期大統領戦について多くの報道をしている。

3年後の11月に現職バイデンは82歳になる。さすがに多忙を極める米大統領を86歳まで勤め上げることは無理があるとの論調もあれば、「無理に思われることを可能にすることこそが米大統領」との意見までさまざまだ。

バイデンは現時点ではやる気満々との意向が伝わってきている。さらに最新の「ポリティコ・モーニング・コンサルト世論調査」によると、民主党員の60%はバイデンに再出馬してほしいとの立場であるという。

それよりも次期大統領選でより大きな関心が注がれるのが前大統領トランプ(75)の出方である。前出の世論調査によると、共和党員の69%はトランプに再出馬してほしいと答えているのである。ついつい「あのトランプをまた推すの?」というセリフが口から出てしまう。

もし2人の対決になれば、2回連続で同じ候補同士で大統領を争うことになる。さらにトランプが当選すれば、米政治史では一度落選して4年後に返り咲く2人目の大統領ということになる。最初は第22代、24代の大統領だったスティーブン・グローバー・クリーブランドだ。

いずれにしも高齢者同士の戦いとなるが、若くて優秀な人材が大勢いる米国なので、そろそろ代替りの時期であろうというのが個人的意見である。(敬称略)