バイデンを支える原動力:2020年大統領選(48)

トランプ氏とバイデン氏の戦いがこれだけ大きな話題になっている選挙であっても、なぜ有権者の65%ほどしか一票を入れないのだろうか。

投票しない人たちは政治に興味を抱かない(抱けない)か、積極的に投票行動を否定しているか、自分の一票では何も変わらないと考えているかなどさまざまだが、それでも3割以上の成人は投票しない。

アメリカのあるサイトに黒人男性(53)の興味深いインタビュー記事がでていた。その男性が前回、大統領選で投票したのは2008年だった。オバマ大統領が誕生した年である。同じ黒人男性として是非ともオバマ氏に当選してほしかったことから投票所に行ったという。ただオバマ再選の2012年には投票しなかった。

「別に私の一票がなくても再選すると考えていたので、わざわざ投票所には行かなかった」と述べている。中西部に住む民主党支持者であるこの男性は今年、12年ぶりに投票するという。

「バイデン氏の熱烈な支持者というわけではないのです。人種差別的な言動をするトランプ氏には耐えかねており、大統領として敬意をもてないからバイデン氏に投票するのです。もし今年バイデン氏が敗れたら、私は自分を責めると思います。『お前が投票しなかったから彼が負けたんだ』って」

この率直な思いは多くの有権者に共通する本音であるかと思う。民主党員だけでなく、有権者の4割にあたる無党派層の人たちにも通じる気持ちであろう。これが今年のバイデン氏を支える原動力になっている。

from twitter

くにまるジャパン極

焦りはじめたトランプ:2020年大統領選(47)

新型コロナウイルスに感染したトランプ氏が焦りだしている。

すでに「免疫を獲得して、他者を感染させることはない」とツイッターでつぶやいたが、いまだに陰性になったという報道はない。そんな中、本人はほぼ1週間、遊説活動ができなかったことでかなり焦りを感じているようだ。バイデン氏との支持率の差も開いてきている。

トランプ氏は12日から遊説活動を再開させ、11月3日の投票日までほぼ休みなしで全米を飛び回りたいと選対本部に告げているようだが、スティーピエン選対本部長もコロナに感染しており、同氏がどれほど動けるかは判断できない。同本部長はツイッターでのつぶやきが少ないので、あと3週間、トランプ氏をどう動かすのか。

ただトランプ氏本人は本気で毎日動き回るつもりでいるとの情報が入っている。周囲は「自殺行為だな」と言っているという。コロナ感染後、大統領は米時間12日にフロリダ州オーランド市郊外で遊説をスタートさせ、翌13日にはペンシルベニア州、14日にはアイオワ州に飛ぶ予定だ。

大統領の周囲にさらなる感染者が増えないことを祈るだけである。

トランプ退院の理由:2020年大統領選(46)

日本時間で6日午前、トランプ大統領が入院先のウォルターリード米軍医療センターからホワイトハウスに戻った。コロナ陽性というニュースからまだ3日しかたっていない。陽性から陰性に変わったという報道はないので、いまだに陽性のままであれば、周囲の人間に感染させる可能性があるはずである。

臨床治験の段階の薬剤を含めて複数の薬を投与されているようだが、このままホワイトハウスで執務にもどり、さらに感染を拡大させないとも限らない。もうしばらくは医療センターにいるべきだっただろう。

なぜこれほど早急にホワイトハウスに戻ったのか。その理由はホワイトハウスに戻る前に、連続で15回もツイートした内容から判断できる。少し記すと、「過去最大の減税を実施。さらなる減税もやりますので、投票してください!」、「強い軍隊を望むなら、投票してください!」、「宗教の自由に賛成なら、投票してください!」「高い株価を望むなら、投票してください!」といった具合で、すべて選挙がらみの内容だった。

つまり、投票日まで1カ月を切った大統領選が気になってしかたがなかったのだ。一刻も早く選挙活動を復活させて、ただでさえ劣勢にあるいまの情勢を逆転させることが今のトランプ氏にとっての最大関心事であると思われる。もし再選が決まったあとにコロナに感染したとしたら、もう少し病院でゆっくり療養していたはずである。

第1回討論会:2020年大統領選(45)

ヒトコトで述べるならば「愚劣なショー」だった・・。

トランプ大統領とバイデン候補の討論会はすでに日本でも大きく報道され、いまさらコメントするのもおこがましいくらいだが、少しだけ触れたい。

昨日は最初から最後まで生放送で観たが、「非難合戦に終始した下劣な言い争い」といった内容で、落胆と同時にアメリカ大統領に失望感さえ味わうほどだった。それでもアメリカでは7310万人が視聴しており、自分たちのトップを決める戦いだけに注目度は高かった。

トランプ氏が最初から「内容のある話をしない」ことは事前の米報道からわかっていた。討論のアドバイスをした元ニュージャージー州知事でトランプ氏の友人であるクリス・クリスティー氏から攻撃型のスタイルで行くとの話と、議題については練り込んでいないという話が伝わってきていた。そのため、トランプ氏から新しい政策や具体的な数字などは期待できなかった。とにかくバイデン氏を攻撃することが前面にでてしまった。

Photo from Foxnews

バイデン氏の方も、トランプ氏が威圧するような攻撃スタイルでくることがわかっていたので、最初から2人は同じように相手を非難しつづけることに終始していた。「決してディフェンシブにならないこと」というアメリカの討論会での基本姿勢があるが、それを何倍も過激にした「非難し続けること」という態度は視聴者を辟易させると同時に、嫌悪感すら抱かせる結果となったのは残念である。

大統領選挙は1年以上にわたって続けられるため、現時点では約9割の有権者はすでにどちらに投票するか決めており、討論会の良し悪しが投票行動には影響を与えることは少ない。よれよりも、視聴者はトランプ氏の粗暴な性格を再認識すると同時に、バイデン氏も荒くれのところがあることをに判別したはずである。

2回目以降はもう少し「これからのアメリカ」を議論してほしいものである。