国連の食料支援機関である世界食糧計画(WFP)は9日、 米国から「14カ国に対する支援を打ち切る」との通知を受けたと発表した。日本のテレビニュース等では大きく報道されていないが、これはビッグニュースと言って差し支えない。トランプ政権になって、 米国がこれまで貧国を中心に差し伸べてきた経済的支援を中止するというのは、受け手側にとっては大打撃である。
アフガニスタンやイエメン、ハイチ、パプアニューギニアといった国々に、米国はこれまで食料や水、医薬品を提供してきたが、契約の打ち切りは、「数百万人に死刑宣告をだすようなもの(WFP)」と捉えられている。米国が拠出してきたWFPへの寄付額は約45億ドル(約6570億円)で、この額は寄付総額(約98億ドル)のほぼ半分にあたる。
なぜこのような暴挙と呼べるようなことをするのか。少し探ると、トランプ大統領は米国際開発庁(USAID)をなくそうとの考えを持っており、その一環として世界的に重要な責務をになっているWFPを打ち切る決断をしたようだ。もちろん「先立つものはカネ」であり、米国家予算を少しでも浮かせるという意味合いが強い。
ただ内外からの批判を受けて、支援打ち切り発表のあと、資金援助が再開された国(エクアドル、イラク、レバノン、ソマリア、シリア)もあるが、すべての国でない。たとえばアフガニスタンは米国の支援がなくなることで、40万の栄養失調の子どもたちを含む計200万人が食糧危機に見舞われるといわれている。
今年1月、トランプ氏は「 米国はもはや米国民に見返りのないお金をやみくもにばらまくつもりはない 」と発言しており、自己中心的な考えをもった人物があと4年近くも政権の座につくことになるかと思うと空恐ろしくなる。