真田広之の英語

米国のエミー賞授賞式で、俳優の真田広之氏が主演男優賞を受賞した時の英語の挨拶があまりに巧みだったので、思わず唸ってしまった。話すスピードは英米人ほど速くはないが、発音がほぼネイディブ並みで、日本で生まれ育った人とは思えないレベルだった。

Hiroyuki Sanada accepts the award for Best Lead Actor in a Drama Series at the 76th Primetime Emmy Awards held at Peacock Theater on September 15, 2024 in Los Angeles, California.
Photo courtesy of Variety

経歴を少し見ると、中高大とずっと日本で、大学卒業後も日本で仕事をしていたが、2003年に公開された映画「ラストサムライ」の出演をきっかけに活動拠点をロサンゼルスに移したという。ただ、20年以上米国にいても、大人になってから移り住んだ人は、それなりに英語にクセがある人がほとんどだ。

だが真田氏の英語の発音のうまさは耳の良さもあるだろうが、ネイティブのような響きで驚いた。かなり自分で努力し、矯正していったと思われる。それほどスムーズな英語になっている。私も大学卒業後に米国に渡り、25年現地で生活したので、そのあたりのことはよく分かっているつもりだ。

これからも俳優として、プロデューサーとして、活躍してほしいものである。

2016年の繰り返しか?

何が「2016年の繰り返し」なのかと言えば、大統領選の流れと結末である。

あの年、私はテレビに出演した時に堂々と、「ヒラリーが勝つと思います」と述べ、見事に外して坊主アタマになった。にがい思い出である。少しは学び、今は「どうなるかわからない」と述べている。

そしていま、「2016年の繰り返し」と記したのは、トランプ氏の対戦相手がやはり女性で、昨今の世論調査ではカマラ・ハリス氏が数パーセントのリードを保ち、状況が酷似してきたからである。当時、ヒラリー氏は選挙資金も支持率もトランプ氏を上回っていたし、実際の総得票数もヒラリー氏の方が286万票も多かった。それでもヒラリー氏は選挙に負けるのである。

今回も、もしかしたらハリス氏の方が総得票数はトランプ氏よりも多いかもしれない。ここがアメリカの選挙の不可思議なところで、選挙人システムのせいで、獲得する州に割り当てられた選挙人の合計が今回もトランプ氏の方が多いということが起こりうる。

いま激戦州が8州ほどあり、重要州でトランプ氏が勝てば、2016年の二の舞も十分にある。そうなった場合、アメリカは選挙人システムではなく、総得票数で決着をつけるという方法に変えるべきなのではないだろうか・・・・。

ハリス・トランプ討論会

Photos: The Harris-Trump debate | CNN Politics
from CNN

お互い言いたい放題で、、、ドロー。

日本時間11日午前10時から行われた米大統領選挙の討論会を観た。最初から両者ともに興奮気味で、自分の言いたいことを巻くしたてた戦いで、これからアメリカ合衆国という大国のトップにたつ政治家がもつべき落ち着きや余裕が見られず、もう少し泰然自若な姿勢でいてほしかった。

ディベートというものは、究極的には 相手を攻撃して自分の主張を正当化させることにあるのだろうが、論点がかみ合わず、言いたい放題だっという印象が拭えない。

トランプ氏が「私は歴史上どの共和党議員よりも多くの票を得ました。実際どの大統領よりも、現職の大統領よりも得票しています」と言えば、ハリス氏は「私は多岐にわたるエネルギー源に投資し、外国産原油への依存度を減らすことを実現してきました。外国産の原油に頼りすぎてはいけないという認識は重要で、私たちは国内原油生産量を史上最大にしたのです」と自身の優位性を強調する。

そしてトランプ氏はこう述べた。

「中東で起きていることを見てみろ。(私が大統領だったら)こんなことが起こるはずがない。私はこの問題を速やかに解決する。ウクライナやロシアとの戦争も終わらせる。私が次期大統領になれば、そう、大統領になる前に終わらせる」

これを暴言と言わずして何と言おう。その通りになれば誰も文句は言わないが、お手並み拝見である。