カマラ・ハリスの邪悪性

米大統領選の投票日まで3カ月あまり。現職バイデンが「降りた」ことで、選挙はカマラ・ハリス(民主党)対ドナルド・トランプ(共和党)という流れになった。先週まで2人の支持率はほぼ拮抗していたが、 ABCニュース・イプソスが7月26、27両日に1200人を対象に実施した調査では、ハリスの支持率は1週間前の35%から43%へと急増した一方、トランプの支持率は40%から35%へと低下。同時に過去1週間でハリスへの献金額は日本円で300億円を超え、期待感の高まりが数字に現れた。このままトランプを引き離してゴールテープを切る可能性さえでてきた。

しかし、である。私は過去8回の大統領選を現地取材した経験から、そう簡単に決着しないのが大統領選であると考えている。実は大統領選の本当の戦いは党大会が終わってからで、今後は2人の討論会はもちろん、日々繰り広げられる選挙戦のやり取りや、有権者の関心を引く政策、さらに掘り下げられる人物像などが表にでてきて支持率が変化することがよくある。

両候補ともすでに政治経験があり、表舞台にでてきて長いが、新たに表出する一面があったりする。たとえばハリスの別の顔といえる側面が、過去1週間で米メディアに登場している。

ハリスの人柄というのは親切で陽気で、いつも笑顔が絶えず、政治家としても状況把握能力が高く、集中力があるといった肯定的なものだが、信じられないような裏の顔が表出してきている。

それは過激すぎるほどの勢いで人を批判する行動で、「魂の破壊」とまで呼ばれており、いじめっ子(Bully)として周囲では知らない人がいないというのだ。ハリスはバイデン政権の副大統領になってからの1年間で71人のスタッフを採用したが、1年後に残っていたのはたった4人だったという。

これはなにも副大統領になってからのことではなく、ハリスが上院議員だった時も同じだった。上院議員だった2017年から2021年で、彼女のスタッフの離職率は上院議員の中では9番目に高かったという。自分のスタッフだけではなく、他議員のスタッフも平気で罵倒できると当時から評判だったようだ。ハリスのことをよく知る人物は、彼女のチームは「士気が低く、コミュニケーションが希薄で、スタッフ同士の信頼も薄い」と散々なもので、これが本当のハリスの姿だとしたら、米国のトップに就いてほしくないと誰しもが思うだろう。(敬称略)