人間の限界はすでにきてしまったのか

米オレゴン州で開催されている世界陸上。先日、男子走り幅跳びの跳躍をテレビで観たが、記録的にはエキサイティングなものではなかった。私の期待が高すぎたのかもしれないが、優勝した中国の王嘉男選手の記録は8メートル36センチで、「金メダルの数字ではないだろう」と一人で呟いていた。

というのも、いまの世界記録は1991年に米マイク・パウエル選手が飛んだ8メートル95センチであり、30年以上も前に達成した記録だ。以後、誰もその記録を破るどころか近づいてさえもいない。

その前は1968年のメキシコ五輪で、ボブ・ビーモン選手が8メートル90センチを飛び、その時にアナウンサーが「この記録は今後1世紀は破られないかもしれません」と言ったのを今でも鮮烈に覚えている。私がまだ小学生の時だ。それでも23年後に破られるのだが、このところは人間の限界を超えられないという印象が強い。

人間が人間である以上、いずれはスポーツの記録には限界がきてしまう可能性が高いが、とんでもない跳躍力の持ち主が現れて、9メートルの大台を記録するジャンプを見たいとずっと思い続けている。