いよいよ戦争

「ロシア側から戦争をしかけることはない」

今月2日、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使が東京丸の内で口にした言葉である(「これは地政学的なゲームだ!」)。その場にいた私は「本当か?」と思ったが、大使があまりにも自信に満ちた表情で話をするので、その場は「戦争には踏み切らないのだろう」との思いを無理やり心に収めた。

だが24日正午すぎ、複数のメディアはロシアがウクライナに軍事行動を起こしたと報じ、大使の言葉は単なる「願い」でしかなかったことが証明された。プーチンは「東部ドンバス地方での軍事作戦は、ウクライナ政権によって虐げられた人々を保護することが目的」と言ったが、無意味な言い訳にしか聞こえない。これはプーチンによる排他主義と民族主義が基礎になった歪んだ思想が具現化した行動であって、決して許してはいけない。

プーチンは以前、「ウクライナは国ではなく、ロシア人とウクライナ人は一つの民族である」ということを述べていたが、その偏った思想が今回、軍事行動で表出したことになる。ウクライナは第二次世界大戦後、ソ連に合併されはしたが、ソ連が1991年に崩壊してからは独立国として存在していた。

今回の軍事行動でのプーチンの本当の狙いは、ヨーロッパの再編成とアメリカを同地域から追い出すことの2点なのだろうと考えている。(敬称略)