ニューヨーク・タイムズ記者がオレゴン州知事を目指す理由

ニューヨーク・タイムズ紙の記者を長年務めたニコラス・クリストフ氏(62)がいま、オレゴン州知事になるために選挙戦を展開している。

クリストフ氏と言えば、東京特派員や北京特派員を務め、1990年には天安門事件の報道でピューリッツァー賞を受賞した国際問題に精通した敏腕記者である。コラムニストとしても健筆を振るっていたが、昨年(2021)11月、同社を辞職。

日本と違って定年がない米社会ではまだまだ書き続けられたはずだが、政治家になるために37年間在籍したニューヨーク・タイムズ紙を離れた。政治とは無縁の世界にいる人物が突然、選挙に出馬することはよくある。

ただクリストフ氏の旧友が以前、同氏に「政治家になるつもりはないのか」と尋ねると、「そのつもりはない。ニューヨーク・タイムズ紙でやっている仕事の方が社会に大きな影響を与えられると思っている」と答え、政治家への転身を否定していた(続きは・・・ニューヨーク・タイムズ記者がオレゴン州知事を目指す理由)。

ウクライナ:軍事衝突か

ウクライナ情勢が緊迫してきている。バイデン政権は、ロシアがウクライナにいつでも軍事侵攻できる段階にきていると判断し、米時間24日に米軍8500人を周辺地域に派遣すると発表した。

私は「バイデンノート」というものを作っていて、バイデン政権の動きを日々記録している。それによると昨年12月9日、バイデン大統領は「ウクライナには米軍を派遣しない」と発言していた。少なくとも1カ月半前までは、バイデン氏は軍事衝突は望んでいなかったし、経済制裁にとどめておくと述べていた。

年が明けた1月6日の段階でも、こう述べている。「(ロシアがウクライナに軍事侵攻した時は)ロシアの経済と金融システムに非常に大きな代償を負わせる」と言うにとどめ、米軍の派遣には及んでいない。

しかし過去数週間で、バイデン氏は強硬策へと傾いていく。これはホワイトハウスに、ロシアのウクライナ侵攻の情報が確実にあげられてきたということであり、プーチン大統領は米側の経済制裁にはまったくと言っていいほど影響を受けていないことを意味する。

ロシアの専門家の中には、軍事侵攻は起きない可能性が高いと述べる人もいる。というのも2014年にロシアがクリミア半島を併合した時、同地に住んでいた230万人がロシア市民になったことで、ロシア政府はかれらの年金や諸々の手当ても面倒みなくてはいけなったというのだ。

プーチン氏はウクライナでまた同じことをするだろうか。今後数週間で、ウクライナ情勢は大きく変わるかもしれない。

人間は数百年生きられるようになるのか

このところ新型コロナウイルスをはじめ、暗いニュースが社会を席捲しているかにみえる。何か明るいニュースがないだろうかと思ってネットニュースを読んでいると、ハッとさせられる記事にであった。

アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が出資者となって、「人間は数百年生きることができるのか」という根源的なテーマを科学的に追及していく企業をスタートさせたというのだ。実は昨年、「アルトス・ラボ」というアンチエイジングを研究する企業をベゾス氏が中心になって発足させていたのだが、今週になって最高経営責任者(CEO)に臨床科学者で医薬品開発者のハル・バロン氏を採用したことで、実質的な研究を始めていくことになった。

記事中には「何百年も病気と無縁で生きるための秘訣を探る」ために、世界のトップクラスの科学者を雇っているとある。人間があらゆる病から逃れ、画期的な細胞再生プログラムの技術を発見することを目指すという。冗談なのではなく、ノーベル賞受賞者が参加したプロジェクトであり企業であるため、当事者たちは真剣である。

米カリフォルニア州サンディエゴ市にあるソーク研究所にいる生物学者フアン・カルロス・イズピスア・ベルモンテ教授をはじめ、スター級の人材がそろっている。同教授は「人間の寿命は少なくとも50年は延びる」と予想している研究者で、決して夢物語ではないという。

教授は2012年にノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授の胚性幹細胞技術をマウスに適用し、2016年に年齢逆転の兆しを確認している。同教授は再プログラミング技術を「生命の仙薬」の可能性と名づけている。同社には2020年ノーベル化学賞を受賞したジェニファー・ダウドナ教授も在籍している。

本当に多くの人が若い身体を維持したまま100年以上生きられるようになったら、どれほど素晴らしいだろうか。