ウクライナ侵攻はあるのか

今朝、日本外国特派員協会のワークルームで仕事をしていると、ヨーロッパ出身の記者が私のデスクにやってきて、ウクライナ情勢の話をはじめた。最近は、記者が集まればすぐにウクライナの話になる。いまは大手メディアの報道だけでなく、ネットニュースや個人が運営するサイトでも信憑性のある報道があるので、情報は溢れんばかりである。その記者は、以前から戦争にはならないとの見方をしており、今朝も意見は変わっていなかった。

「プーチンが本当に戦争をするつもりなら、すでに戦争をしかけていたはずだ。なぜここまで待つ必要があるんだ。もう2月中旬だ。多くのメディアはすぐにでも戦争が始まるかのような報道をしているが、チャンチャラおかしい」

そう言ったあとにヒト呼吸おいて、こう言った。

「ゼレンスキーもプーチンも、テーブルの下ですでに話をまとめているはずだ。その話は表には出てこないが、国のトップはこれからどうするかをすでに決めている。それが国際政治というものだ。誰が何をゲットして、何を失うかは前もって決まっている」

国際政治を数十年も取材している記者らしい、自信に満ちた口調だった。それだけに言説には説得力があるが、「もしロシアが侵攻したらどうする」と私が問うと、「まあその時はその時だな」と平然と答えている。

戦争になれば得をする(利益を得る)者がいるから戦争をしかけるわけで、大多数の市民が戦争の犠牲者になるという事実は人類がはじまってから変わっていない。