2024年大統領選:バイデン対トランプ?

次の米大統領選(2024年)まであと3年ほどあるが、米メディアはすでに次期大統領戦について多くの報道をしている。

3年後の11月に現職バイデンは82歳になる。さすがに多忙を極める米大統領を86歳まで勤め上げることは無理があるとの論調もあれば、「無理に思われることを可能にすることこそが米大統領」との意見までさまざまだ。

バイデンは現時点ではやる気満々との意向が伝わってきている。さらに最新の「ポリティコ・モーニング・コンサルト世論調査」によると、民主党員の60%はバイデンに再出馬してほしいとの立場であるという。

それよりも次期大統領選でより大きな関心が注がれるのが前大統領トランプ(75)の出方である。前出の世論調査によると、共和党員の69%はトランプに再出馬してほしいと答えているのである。ついつい「あのトランプをまた推すの?」というセリフが口から出てしまう。

もし2人の対決になれば、2回連続で同じ候補同士で大統領を争うことになる。さらにトランプが当選すれば、米政治史では一度落選して4年後に返り咲く2人目の大統領ということになる。最初は第22代、24代の大統領だったスティーブン・グローバー・クリーブランドだ。

いずれにしも高齢者同士の戦いとなるが、若くて優秀な人材が大勢いる米国なので、そろそろ代替りの時期であろうというのが個人的意見である。(敬称略)

Merry Christmas

東京駅の丸の内側にある商業施設「KITTE」。毎年、ロビー中央に大きなクリスマスツリーが登場するが、今年は和紙で作られたツリーがお目見えした。

10年前の北朝鮮

今日(12月17日)は、北朝鮮の金正恩総書記が権力を握ってからちょうど10年目にあたる日だ。それは前総書記の金正日氏が他界した日でもある。

当ブログでも記したが、ちょうど10年前に私は北朝鮮を訪れる機会があり、北京経由で平壌に入って「かの国」を見てきた。国交はなくとも、北京の北朝鮮大使館で旅行者カードを取得でき、観光目的で入国はできる。

平壌郊外ののどかな公道。

10年前は走っている車の数がたいへん少なく、平壌から板門店まで(約170キロ)にすれちがった車はたった10台でしかなかった。それはマイカーを所有する人が極端に少ないということであり、経済的に西側諸国と比較するとかなり窮乏化が進んでいるということでもある。

平壌の地下鉄の入り口。市内には2路線があり、
開業は意外に古く1973年である。

しかし、各地で出会った市民の顔からは不思議と困窮しているという表情はなく、食べるものは食べているという印象を受けた。

あれから10年がたち、金正恩体制になって北朝鮮国内の経済事情がどう変わったのか、さらには市民の生活がどう変化したのか探りたいが、次回の訪朝はまだ見えていない。

世界とデカップリングする中国

米中両国の間でしばらく前から「デカップリング(分断)」すべきなのか、それとも「カップリング(結合)」しておくべきかとの議論が交わされている。

これは端的に述べれば、中国との関係を緊密にしておくべきか否かということで、大きな政治・経済決断が必要となる。両国間には貿易問題だけでなく、地政学的問題、さらには人権問題や環境問題なども加わり、以前よりも不確実性が高まっている。

中国は経済活動におけるナショナリズムが以前よりも強固になっているとの見方があり、米国内には中国への関心を相対的に低下させるべきとの声もある。

中国とのデカップリングを最初に説き始めたのは、ドナルド・トランプ政権時代の主席戦略官だったスティーブ・バノン氏で、2018年に同氏は「米国は中国をデカップリングすべきだ」と主張したことが始まりと言われている(続きは・・・世界とデカップリングする中国)。

本当にウイグル族の弾圧を嘆いているのか

来年2月の北京冬季五輪に政府関係者を派遣しない「外交ボイコット」が広がり始めている。米国をはじめ、イギリス、オーストラリア、カナダなどが加わり、ボイコットの輪が広がっている。

日本は岸田首相がいまだにどうすべきか判断できずにいる。13日の衆議院予算委員会で岸田氏は、「対応については適切な時期に、オリンピック・パラリンピックの趣旨、精神、外交上の観点といった諸般の事情を総合的に勘案した上で国益に照らして自ら判断する」と、煮え切らない発言をして態度を保留した。

二者択一なので、すでに腹の中では答えがでているのだろうが、米国に寄り添った決断も明言できなければ、バイデン大統領に反旗を翻して「外交ボイコットはせずに、日本は政府関係者を北京に送ります」という積極的な態度も示せない。諸外国がどう判断するかをまだ眺めるつもりなのだろうか。

個人的な意見をのべると、私は外交ボイコットには反対である。選手も政府関係者も北京に派遣すればいいと考えている。このブログをお読みの方はご存知かと思うが、私は中国に深い思い入れがあるわけではない。思い入れという点では米国に25年もいたので、完全に米国の方にウェイトが乗っている。

今回の外交ボイコットの理由としてあげられているのが、中国の新疆ウイグル自治区での人権弾圧である。確かに人権弾圧は糾弾されるべきことだが、「ウイグル民族への人権弾圧」という言葉だけが一人歩きし、政府関係者を含めてどれだけの方がウイグル民族の現状を知っているのだろうか。

ウイグル民族のほとんどはイスラム教徒で、過去にテロ事件があったこともあり、中国政府は100万を超えるウイグル民族を強制収容所に入れているといわれている。

五輪という政治が関与すべきでないスポーツの祭典に、急にウイグル民族の人権問題をだしてきて反対を唱えているように思えてならない。米英豪などが政府関係者を送らないことで、人権問題を解決できればいいが、好結果はほとんど期待できない。

こうした気持ちを抱いていると、フランスのマクロン大統領が外交ボイコットをする予定はないと発言。外交ボイコットの効果は小さく、象徴的なことでしかないと述べた。”ヒザポン”である。

本当にウイグル民族の安否を気遣うのであれば、外交ボイコットではなく、中国政府に圧力をかけるなり、物理的にウイグル民族に手をさしのべるなりの行動を起こすべきであるが、そういった方向には流れない。机上の空論として反対するだけであれば、「五輪には参加します」と宣言した方がいい。