本当にウイグル族の弾圧を嘆いているのか

来年2月の北京冬季五輪に政府関係者を派遣しない「外交ボイコット」が広がり始めている。米国をはじめ、イギリス、オーストラリア、カナダなどが加わり、ボイコットの輪が広がっている。

日本は岸田首相がいまだにどうすべきか判断できずにいる。13日の衆議院予算委員会で岸田氏は、「対応については適切な時期に、オリンピック・パラリンピックの趣旨、精神、外交上の観点といった諸般の事情を総合的に勘案した上で国益に照らして自ら判断する」と、煮え切らない発言をして態度を保留した。

二者択一なので、すでに腹の中では答えがでているのだろうが、米国に寄り添った決断も明言できなければ、バイデン大統領に反旗を翻して「外交ボイコットはせずに、日本は政府関係者を北京に送ります」という積極的な態度も示せない。諸外国がどう判断するかをまだ眺めるつもりなのだろうか。

個人的な意見をのべると、私は外交ボイコットには反対である。選手も政府関係者も北京に派遣すればいいと考えている。このブログをお読みの方はご存知かと思うが、私は中国に深い思い入れがあるわけではない。思い入れという点では米国に25年もいたので、完全に米国の方にウェイトが乗っている。

今回の外交ボイコットの理由としてあげられているのが、中国の新疆ウイグル自治区での人権弾圧である。確かに人権弾圧は糾弾されるべきことだが、「ウイグル民族への人権弾圧」という言葉だけが一人歩きし、政府関係者を含めてどれだけの方がウイグル民族の現状を知っているのだろうか。

ウイグル民族のほとんどはイスラム教徒で、過去にテロ事件があったこともあり、中国政府は100万を超えるウイグル民族を強制収容所に入れているといわれている。

五輪という政治が関与すべきでないスポーツの祭典に、急にウイグル民族の人権問題をだしてきて反対を唱えているように思えてならない。米英豪などが政府関係者を送らないことで、人権問題を解決できればいいが、好結果はほとんど期待できない。

こうした気持ちを抱いていると、フランスのマクロン大統領が外交ボイコットをする予定はないと発言。外交ボイコットの効果は小さく、象徴的なことでしかないと述べた。”ヒザポン”である。

本当にウイグル民族の安否を気遣うのであれば、外交ボイコットではなく、中国政府に圧力をかけるなり、物理的にウイグル民族に手をさしのべるなりの行動を起こすべきであるが、そういった方向には流れない。机上の空論として反対するだけであれば、「五輪には参加します」と宣言した方がいい。