ジョー・バイデン大統領は今月20日に79歳の誕生日を迎えた。歴代大統領の中では最も高齢で、昨年11月に当選を果たした時、1期4年だけの大統領になるかもしれないとの憶測が飛びかった。だが最近になって2期8年を務めるつもりであるとの意向が伝わり、ジェン・サキ報道官も22日、バイデン氏は24年の大統領選に再出馬し、「それが彼の意向だ」とはっきりと述べた。
3年先のことは誰もわからないが、現時点でバイデン氏は精神的にも体力的にも80歳半ばまで大統領をやれると感じているのだろう。もしかすると、2期8年を務めあげることは「無理かもしれない」との思いも心中にかすめているかもしれないが、現時点で「もう続かない」と弱音(本音)を吐露することは、政治的にかなりのマイナスになるので、最後の最後まで強気の姿勢でいるとも思える。
というのも、最近のバイデン氏の支持率は40%を切るほど低迷しており、米国大統領の威信にかけても、本来であれば落潮の流れになってないことを見せなくてはいけない。米メディア報道のなかには、「過去1カ月間に話をした民主党員の中で、バイデン氏が再出馬する可能性を信じている人は1人もいなかった」といったかなり否定的な見方もある。大統領として弱みを見せられないと同時に、去りゆくリーダーには追従したくないという人の性を見越して、強がりになっているとも思える。
1月に大統領に就任して以来、私が特にバイデン氏から感じる危うさというのは、世界を先導していく大国のリーダーでありながら、国家レベルで進歩的な外交・経済政策を打ち出していないということである。いわゆる「バイデン・ドクトリン」と呼べるような外交・軍事・経済面での基本政策を提唱していない。やることといったら、議員時代の経験を活かした大型法案の成立くらいで、ドメスティックなところに終始しているところが気になる。
それが「ジョー・バイデン」という政治家の限界でないことを祈りたい。