結局、自民党に落ち着く日本

衆議院選挙が終わり、けっきょく自民党が絶対的安定多数といわれる261議席をものにした。衆議院の定数が465なので233議席を奪えば単純過半数になるが、それよりもはるかに多い議席を奪うことになった。

選挙前は自民党がかなり議席を減らすとも言われていた。実際は15議席を減らしたが、261までもっていったということは、やはり多くの国民が意識的にも無意識の中にも自民党による「イマの日本」を肯定していたということに他ならない。それは過半数の有権者が岸田首相を肯定したことにもつながるし、現状を大きく変えてほしくないとの思いが心の奥底にあったからなのだろうと思う。

実際に投票所で候補の名前を書くときは、それぞれの小選挙区で出馬している人を選ぶわけだが、有権者がどこまで候補一人ひとりの主義主張を勉強して投票所に行っていたかは微妙なところである。候補の人となりや政治理念を知らずに、単にどの政党に所属しているかで候補を選ぶ傾向がいまでも強いはずだ。

そうなると、立憲民主党が中心となった野党連合に政権を任せるよりも、これまでの自民党議員(候補)を選んだ方が無難であり安泰であるとの考えが優勢になる。先進国と比較すると国民の平均収入はけっして大きく伸びているわけではないが、国内で暴動が起きているわけでもない し、社会は平穏なままである。コロナも収まりつつある。

こうした状況下であれば、かつては自民党政権の下で高度経済成長を達成してきただけに、ふたたび「勢威を誇る」ことは可能だろうとの期待が市民の心中にあるのではないか。今回の選挙結果から、そんな思いが去来している。