JR赤羽駅の東口に行く用事があり、「赤羽中央街」という商店街を歩いていると、懐かしい佇まいの駄菓子屋が目にとまった。用事の帰りに立ち寄ると、もう何年も手にしたことのない駄菓子が店内に溢れていた。
地元の人たちにとっては「お菓子の種屋」は知らない人がいないほど有名らしい。カウンターの中にいた婦人に訊いた。
「このお店はどのくらいやっているんですか」
「70年!」
そう言い放ったあと、婦人は多くを語らなかった。昭和がそのままフリーズされて、「どこにもいかないわよ」と言っているようだった。私が買い求めたのは不二家のパラソルチョコレートと明治のマーブルチョコレート。