中台の緊張

新聞やテレビのトップニュースには来ていないが、過去3日ほど、中国が軍用機を 台湾の防空識別圏(ADIZ)に進入さ せており、軍事関係者から警戒の声があがっている。しかも過去3日間で計93機がADIZに侵犯しており、中国による軍事挑発であると見なされている。

中国が台湾侵攻を虎視眈々と狙っているとの見方は以前からあるが、米国が台湾の後ろ盾をなっている以上、もし中国による台湾侵攻があった場合は、軍事的にも経済的にも中国にとってはマイナス要素の方が大きいとも言われている。

中国が本当に軍事行動にでた場合、米国は国内のすべての中国保有資産を凍結し、台湾の独立政府を承認する可能性がある。さらに中国を敵国とみなして、中国とのビジネスやドル取引などを遮断するはずだ。米中の全面戦争になる可能性は低いが、米国は台湾、日本を含めた近隣国と協議して、地政学的な軍事的対応を講じて、「中国の台湾侵略」を可能なかぎり阻止する動きにでるだろう。

国連をはじめとして、国際社会から中国に対する非難が高まり、孤立していくかもしれない。こうしたマイナス要素が大きいと判断しても、習近平氏にとっては台湾統一は「中華民族の偉大な復興」と捉えており、多くの人の予想と反するかたちで軍事行動となって表れるかもしれない。

軍事評論家の中には「台湾有事」は「日本有事」であると考えるべきと述べる人もいる。いまから米軍がどういった行動をとり、自衛隊はどういった後方支援をするのかなど、十分に議論しておく必要がある。歴史を眺めると、こうした有事は予想していない時に、予想に反する形で勃発することがあるので、心の準備をしておくべきである。