現実を受け入れられず:2020年大統領選(55)

前回の当欄(もうすぐ白旗:2020年大統領選(54))で、トランプ氏の白旗は意外に早いかもしれないと書いたが、トランプ氏は自身の敗北を受け入れられず、血迷ったと思えるほど言動が荒れている。バイデン氏は結局、トランプ氏に約700万票の差をつけた。

「不正がどこかにあってほしい」との願望はトランプサイドに立てばわからなくはないが、不正をデッチあげる愚行はあってはならない。11月29日にFoxニュースで「訴訟を連邦最高裁判所に持ち込むのはとても難しい」と語っていたが、12月5日のジョージア州での集会では「最高裁まで戦いつづける」と態度を変えた。変えたというより、敗北という自己否定につながる現実を受容できないのだろう。

それでもトランプ陣営の依頼を受けて、ジョージア州では2回目の追加集計を行ったが、結果は変わらず。バイデン氏は1万1779票差でトランプ氏に勝った。だがトランプ氏は怒り狂ったように、不正があったはずだと勘ぐっている。

そもそも、バイデン陣営は選挙前に大きなリードを保っており、勝利は確実視されていた。その上でみずから不正を行う理由はないし、仮に不正が発覚した場合はただでは済まされず、その危険を考えると不正に手を染めるとは考えにくい。

12月14日に選挙人による投票が各州の州都で行われ、1月6日に開票されて、正式にバイデン氏が次期大統領に決まる。来週14日の選挙で、選挙人が謀反したとしても数人にとどまるはずで、正式にバイデン政権が誕生する。