「桜を見る会」への思い

安倍前首相の「桜を見る会」のニュースを見聞きしていて、私はずっと「?」という思いをもっていた。

安倍氏の後援会は毎年、同会を開いてきたが、2015年から19年までの5年間は1人5000円の会費でも最終的な収支が合わなくなっていたという 。都内のホテルで夕食会をするので「足が出てしまい」、安倍氏側が900万円(5年分)を負担することになったのだ。

自分が主催するパーティに参加費をとって人を呼び、「お金が足りなくなったので自分が不足分を払いました」ということに文句を言う人がいるのだろうか。一般的な社会通念としては、当然の行為と思われる。足りない分を、参加者に対して「みなさん、足りなかったのであと1500円ずつ払ってください」というのは忍びない。主催者が黙って差額を支払うことは「大人の行為」のはずである。そこに違法行為は見えない。

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少なくとも「桜を見る会」の概要は上記のようなことだと認識している。ただ、安倍氏は政治家であり、前首相である。一般人と同じように花見の会をひらいて「足りない分は自分が負担をしました。ハイ、チャンチャン」では済まないらしい。というのも、政治家である以上、こうしたパーティでの収支は政治資金収支報告書に記さなければならず、それを怠っていたというのだ。

実際の記述は安倍氏の秘書が行うべきことで、同氏は知らなかったという。それで、安倍氏は不起訴になるようだが、一般常識から考えたら、自分がパーティの不足分を支払って逮捕されていてはたまったものではない。今回の件は政治資金規正法(第8条の2)に違反するということだが、参加費が多額で、あまったお金を自分の懐に入れていたら問題だが、今回は逆である。

個人的に安倍氏の支援者ではないが、ワタシにしてみるとこれは些末な問題でしかない。ところが国会は大騒ぎである。朝日新聞だけでなく産経新聞も社説で安倍氏を糾弾している。事実と異なる答弁があったことは確かだが、大手メディアは問題への光の当て方が間違っている。