トランプを本当に裁けるのか

米連邦上院でトランプの弾劾裁判が始まった。私が述べるまでもなく、トランプが罷免されることはないので、実質的には上院の公判は「ほとんどあってないようなもの」である。

ルールとして67人以上の上院議員がトランプ罷免に手を挙げないかぎり、トランプをホワイトハウスから追い出すことはできない。当欄でも何度も記してきたことだ。

ここで改めて考えさせられるのは、最高裁判事がきて行われる裁判であっても、モノゴトの判断には個人的な願意や心願が優先されるという事実である。

被告(トランプ)がやったことは犯罪であると判断する民主党議員と、犯罪にはあたらないとする共和党議員の論戦は、法律的な客観的判断を下す以前に、すでに政治色によって決着がついてしまっている。その色つきのフレームから外れない限り、数の論理で決まってしまう。

調べると、上院議員(100人)のうち47人が法律家(判事、検察官、弁護士)としての経験があり、多くの議員は保守やリベラルといった政治色を抜きにして、かつては裁判に携わった経験があるはずだ。トランプの容疑を法律家として真に熟慮したとき、100人のうちいったい何人が弾劾にあたると判断するのだろうか。

政治的利害を抜きにして訊いてみたい。(敬称略)