2020年米大統領選(25):バイデンは弱い候補?

民主党レースは数カ月前から「トップ4による戦い」と言われてきた。私もそう発言してきた。だが今月20日、「ニューヨーク・タイムズ」が全米の世論調査で現在5位の上院議員エイミー・クロブシャーを推薦。ニューハンプシャー州で最大の日刊紙「マンチェスター・ユニオン・リーダー」もクロブシャーを推薦して、予備選レースは4強から5強に移っていくかもしれない。

米新聞が特定候補を社説などで「イチオシ」する動きはアメリカの伝統的な慣習だが、大手新聞が推薦しても、その候補が勝てるわけではない。クロブシャーはABCテレビのインタビューで「私はどの候補よりも多くの新聞社から推薦を受けている」と胸を張ったが、今後2週間でどこまでやれるだろうか。見ものである。

過去1年、全米レベルでの支持率という点では、バイデンがずっとトップを走ってきた。いまでも多くの州でバイデンがリードを保つが、予備選最初の州であるアイオワと次のニューハンプシャーで勝ち進むかは微妙なところである。

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私が否定的な見方をする理由が3つある。1つ目はバイデンの両州での支持率がトップを維持していないことだ。勝ったとしても圧勝にはほど遠い。安定した力強さがない。かつての副大統領で、誰もが知る人物であり、穏健派ということだけで消極的な支持が集まっているかに見える。

2番目は人望のなさだ。先週アイオワで開かれた集会には数十人しか聴衆が集まっていなかった。あまりにも寂しい。4年前のトランプや12年前のオバマの時は、どの会場も入りきらないくらい人が埋まり、まるでロックスターが登場したかのような騒ぎになった。だがバイデンの場合、まるで「望まれていない演歌歌手」が現れたかのようだった。すべての集会がそうではないが、「バイデンが近所に来るなら是非とも聴きに行こう」という人が少なすぎる。

3番目の理由は選挙資金である。大統領候補として、あまりにもカネが集まっていない。トップ4の中では4番目である。政治資金調査を行っている非営利団体「オープンシークレッツ」によると、バイデンの選挙資金集金額はここまで3676万ドル(約40億円)。サンダーズは約2倍、トランプは4倍強の資金を集めているだけに、あまりにも頼りない。有権者のバイデンへの期待値が高ければおのずと献金する人が増え、集金額も多くなるものだが、そうはなっていない。

バイデンが選挙戦をトップで走り続けられたとしたら、それは私にとっての「大きな驚き」になる。(敬称略)