北朝鮮政策がないことを認めた安倍

迎賓館で27日に行われたトランプ・安倍の記者会見を観ていて、「ちょっとありえないでしょう」と独り言を口にしていた。

何がありえないかというと、安倍が北朝鮮政策を持っていないことを認めてしまったことである。会見の最後の方で、アメリカ人記者が北朝鮮のミサイル発射(5月初旬)について訊いた時のことだ。

トランプは「アメリカ国民は北朝鮮が国連決議に違反していると思っているかもしれません。しかし、私はそう思いません。北朝鮮は核実験を行っていないし、弾道ミサイルも発射していません。いつの日か合意に達することができると思います」と答えた。

安倍はどちらに身を寄せるのか。これまでは「国連制裁決議に基づいて最大限の圧力を」と言い続けてきている。そうした経緯を踏まえれば、安倍は国家安全保障担当のボルトンと同じ意見であるかに思えた。

だが安倍は二枚舌を使うのだ。しかも同じ質問の答えの枠内で、まったく相反する答えを述べた。

「5月9日の北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射は、関連する国連安全保障理事会決議に違反するものであり、極めて遺憾でありますが、同時に、私は大統領の金委員長との間で取ってきた新しいアプローチについては、改めて敬意を表したいと考えているところです。」

ミサイル発射には反対だが、トランプの新しいアプローチは認めるというのは完全なる矛盾である。質疑応答の流れから、トランプのミサイル発射容認発言にも賛成するということで、自身の北朝鮮政策などまったく無いに等しいことを露呈させた。

あるのはアメリカ追従の姿勢だけである。これは政策とは呼べない。トランプについていく従順な下僕のような姿だけが目立ち、落胆を通り越して悲憤を覚えた。(敬称略)