上皇天皇が述べた「平和の海」

平成の時代に天皇だった明仁さまは今、上皇明仁と呼ばれる。いまも昔もすぐにお目にかかれる方ではないが、1993年6月、私はホワイトハウスでお目にかかる機会があった。

当時のビル・クリントン大統領が両陛下をワシントンに招待し、ローズガーデンという南庭で両陛下にお目にかかったのだ。私は前年にホワイトハウスの記者証を得ていたので、日本人ということもあり招待されていた。

陛下はクリントン氏と招待客に対して長めのご挨拶をされた。その中で、ドワイト・アイゼンハワー大統領を訪ねて以前にもホワイトハウスを訪れていたことを知った。

もっとも印象的だったのは、日米両国の関係に言及された時の言葉だった。「これからも平和な交流が長く保たれ、太平洋が『平和の海』になることを切に希望します」と話されたのだ。

「平和の海」という言葉は新鮮だった。いまでも新鮮な響きがある。知性主義に根ざした両国の思いがその言葉に集約されているように感じ、大変心地よかったと同時に実践していかなくてはいけない、と思ったことを覚えている。

トランプ大統領が国賓として今月下旬に来日する。そこで同大統領はいったい何を語るのだろうか。

rosegarden5.9.19