トランプが失脚しない訳

どうしてトランプが支持され続けているのだろうか。このところ、ずっと考えている疑問である。

これまでの政治家とは違い、人の心に響くような本音をためらいもなく口にする壮気が認められているということか。品のないというより下劣な表現が飛び出すたびに大統領としての品位を損なっているかに思えるが、むしろ多くの保守派の人たちにとっては「膝ポン」フレーズだったりする。

「よく言ってくれました」。拍手喝采する人たちが少なくない。

ハーバード大をでて、オックスフォード大にも留学し、有名なコンサルティング会社で仕事をしたあとに政治家となり、「すべての市民に健康保険を提供します」といった理想論を熱くかたる良識ある政治家(民主党候補ピート・ブディジャージ)より、自分たちの本音を代弁してくれるトランプの方がいいと思う保守層の市民は驚くほど多いのだ。

トランプの支持者は、綺麗ごとだけを述べていても世の中は変わらないと考える。トランプ本人は選挙に勝つためであれば何でもするつもりだし、実践してきた。ロシア政府と手を組んでもいいとさえ思っているかのごとくだ。

誰にもバレなければいいのだから、というメンタリティーはある種の犯罪者心理に通じる。バレてしまったらあとは揉み消せばいい、というヤクザ紛いの考え方といつも共存しているかのようでさえある。カネで解決できることはカネを使う、という姿勢も感じる。

単に打たれ強いという表現では言い表せない。トランプ支持者はこうした「トランプ流」をよく理解し、認めている。マラー報告書がだされてもトランプの支持率にほとんど変化がないのはそのためだ。

来年の選挙でも民主党は間違いなく苦戦を強いられる。(敬称略)