緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国

南シナ海で軍事拠点化を進める中国に対し、米軍が対中政策により力を入れ始めている。

3月19日、ハワイのフォート・シャフター陸軍基地で開かれた会議で、米太平洋軍司令官のロバート・ブラウン陸軍大将が中国に対抗するため、本土から数千から万単位の兵士をアジアに配備する用意があると述べたのだ。

「南シナ海で問題(有事)が起きた時には陸海空および海兵隊の兵力が協力し合って対処していくことになります」

この発言が海軍大将ではなく陸軍大将から出たところに注目したい。

中国が南シナ海で人工島を造成し、軍事基地化を進めている中で、ブラウン大将は陸軍の出動も念頭に入れているということだ(続きは・・・緊迫する南シナ海:中国の進出阻止に本気の米国)。

spratly3.29.19

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ロシア疑惑(18):トランプ潔白

ほぼ2年間待ち続けたマラー報告書の結果は、「トランプ潔白」で終わった。

トランプがロシア政府と共謀して2016年の大統領選に不正を行った証拠はなかったと結論づけたのだ。全文は公開されていないが(たぶん今後もされない)、バー司法長官が連邦上下両院の司法委員会委員長に送った4頁の概要には、トランプとロシアとの共謀を裏付ける証拠は見つからなかったとはっきりと書かれている。

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入手して読むと、マラーは19人の弁護士を雇い、2800通以上の召喚状と500通以上の捜索令状をだして徹底的に捜査を行ったという。その過程でトランプの周囲にいた人間やロシア人など30数名が起訴されたが、トランプが共謀をはたらいた証拠は見つけられなかったというのだ。

ただ司法妨害を行った可能性はあると述べられている。だが、この点については今後広がりがあるとは思えない。ロシア疑惑はいちおう幕がおりたと考えて差し支えない。

最終報告書が出たあと、関係者の起訴ももうない。昨年5月17日の当欄「ロシア疑惑(9)」で記したように、マラーは昨春の時点で、すでにトランプの起訴がないことをトランプ側に告げている。

民主党議員や大統領候補たちは報告書の全文公開をもとめて食い下がっているが、早く幕引きをおこなって次の段階に進んだほうがいいだろう。トランプを調子づかせるだけである。(敬称略)

ロシア疑惑(17):マラー報告書提出

待ちに待ったマラー特別検察官の報告書がバー司法長官に提出された。

報告書の提出に期限がなかったとはいえ、昨年の秋に出されると言われていたものが、昨年末に、年明けすぐに、2月末にと次々に変わってきた。そして米時間3月22日(金)午後にようやくバー司法長官に提出された。

全面公開はないと最初から言われていたので、内容をすべて読めるわけではないが、要点はすぐにでも公表されるだろう。最大の関心事は1点。トランプが2016年の選挙でロシア政府と共謀して不正を働いたかどうかである。

すでに下院議長のペロシは今月、トランプを弾劾しないとの態度を表明したが、トランプが本当にシロであるかは別問題である。報告書の中に新たな事実やトランプの不正行為を証明できる内容が含まれているのか、ロシア疑惑の最終章の幕開けである。(敬称略)

イチロー引退

「そうか、やっぱりか」

21日夜、マリナーズ対アスレチックスの試合をテレビで観ていると、試合後にイチローの会見があるとの一報が入った。

本当に50歳まで現役でいられるのではないかとの期待があった一方、打てなくなっていたので「いよいよ決断をしたのか」との思いが去来した。

たくさんの記録がある中で、私は日米通算で4367安打という数字が抜きん出てすばらしいと思う。アメリカでは日本のプロ野球の安打数を入れるべきではないという人もいるが、もはや説得力のない言説でしかない。

世界最多安打の記録はもしかしたら今後、破られることはないかもしれない。それほどの偉業だろう。

ただイチローに対しては、少しばかり「嫌みな男」という印象をもっていた。本人も「人望がない」と会見で述べたとおり、斜に構えて距離を置くようなところがあったように思う。

それは昨年5月、大谷翔平とイチローがグラウンドで初めて顏を合わせた時にも見られた。駆けよって挨拶をしようとした大谷を、イチローは避けるようにかわして走り去った。もちろん直後に握手を交わすが、わざわざ挨拶にきた後輩に一瞬だけだが背をむける行動にイチローらしさが見てとれる。

素直に自身の気持ちを表すことへの抵抗なのか、あるものをそのまま受け入れることへの羞恥なのか、それとも潜在的な異種の意識なのかはわからない。

また会見でTシャツについての質問がでた時、「粋とは自分では言えないですけど、無粋であることは間違いないですよね」という返答もイチローらしさが出ていると思った。その裏には「そこまで俺に言わせるの?」という情動がある。

無粋という言葉からは、野球選手として、男として常に粋でなくてはいけないという強い思いも感じる。そうした意識を持ち続けたからこそ世界一に到達したのかとも思う。

「本当にご苦労さまでした」という言葉と同時に、今後のイチローの歩む道にも注目していきたい。

2020年米統領選(9):早すぎる予想

今日は大統領選の「早すぎる予想」をしてみたいと思う。

すでに多くの方から「来年は誰が勝つと思いますか」と訊かれている。現職ドナルド・トランプが再選を果たすのか、それとも民主党候補がトランプを負かすのか、はたまたスタバ創業者ハワード・シュルツが独立候補として参戦して当選するのか。

組織に所属する記者や政治学者は予想が外れたときに責任をとらなくてはいけなくなるので、軽はずみに誰が勝つかを口にしないが、フリーランスのジャーナリストとしてはドンドン予想を述べていきたいと思う。ただ来年の秋までは、「現時点では」という条件つきである。

現時点の予想はズバリ、トランプである。「トランプ強し」と言わざるをえない。

大統領選の取材をはじめて今回の選挙で8回目になる。経験がいかされることもあるが、毎回新しい要素や事象が加味されるので、あらゆる角度から総合的に判断をしていかなくてはいけないと思っている。その上でのトランプである。もちろん個人的な感情は除外している。

まず、トランプは選挙資金の集まり方が現時点で民主党候補を圧倒している。トランプが再選の申請を連邦選挙管理委員会にだしたのは2017年1月20日。就任式の当日である。そこからカネ集めをスタートさせて、すでに150億円以上の資金を集めている。過去2カ月間に出馬表明した民主党候補とでは差がありすぎる。

米経済も現時点では好況で、現職には有利だ。低い失業率とインフレ率、GDP成長率も悪くなく、企業業績も伸びている状況で現職が負ける要素は少ない。

トランプの支持率は42%ほどで決して高くないが、トランプが暴言を吐こうが独善的な政策を打ち出そうが、国民の約4割はトンラプ支持で揺るがない。

さらに言えるのは民主党候補の顔ぶれが情けないということだ。ベト・オルークカマラ・ハリス、コーリー・ブッカーという勢いのある若手候補もでているがが、トランプを打ち倒せるようには思えない。現時点では役不足である。

支持率ではまだ出馬していない前副大統領ジョー・バイデンが民主党候補の中ではトップに来ているが、新鮮味がない。「ベイクドケーキ(焼き上げられたケーキ)」と揶揄されるように、味も形も知れ渡ったケーキ(政治家)である。

「無難なおじいちゃん」がトランプを上回る強烈な個性や政策を打ち出せるのか。

個人的には、オルークが今後1年8ヵ月でどれだけ化けられるかにかかっているように思える。怪物に育ってほしいというのかが民主党サイドの希望でもあるはずだ。(敬称略)

beto3.20.19

パンクロッカー時代のオルーク(Photo from Twitter)