ロシア疑惑(16):消えたトランプ弾劾

米連邦下院議長のナンシー・ペロシは11日、「ワシントンポスト・マガジン」とのインタビューで、トランプを弾劾することはしないと発言した。

pelosi3.12.19

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「弾劾を支持しません。これまで私はメディアに対し、弾劾についての意思表示をしてこなかったので、『弾劾を支持せず』というのはニュースですよね。弾劾は国家を分断します。やむにやまれぬ事情があり、圧倒的なまでに超党派で弾劾を推し進められない限り、すべきではないと考えます」

マラー特別検察官がいまロシア疑惑の報告書を作成しており、近々に司法長官に提出されるはずである。そのタイミングを見計らうようにして、ペロシはトランプの弾劾を否定してみせた。

下院で過半数を握る民主党のトップであるペロシが弾劾を否定したことで、「トランプ弾劾」は事実上なくなった。

特別検察官が作成する報告書というのは、本来下院の司法委員会に提出されるものだった。同委員会が大統領の弾劾手続きを進めるための資料であり証拠だったのだ。ところが今回、報告書は司法長官に渡される。

トランプがロシア疑惑で違法行為をしていたとしても、お咎めなしということになる可能性が高まった。(敬称略)