ゴーンは本当に罪を犯したのか(3)

カルロス・ゴーンが保釈されてから1カ月近くたつが、いまだに記者会見は行われていない。その代わり、4月2日午後3時から弁護士の弘中惇一郎が再び会見を行った。

hironaka4.2.19

「日産は被告人ではなく検察官です」

本来であれば被告側にいるはずの日産が、検察と結託して検察調書を作成する手伝いをしたと弘中は言った。日産社内の人間が検察に情報をリークしたことはほぼ明らかだが、「誰がやったかはわからない」と述べた。

私はゴーンが保釈後、部分的にでも罪を認め始めているのか、それとも逮捕・起訴は不当であり全面的に起訴事実を否認しつづけているのかを訊いた。

「ゴーンさんは自分が無実であるという考え方を変えていない」と答え、公判では検察側と全面対決する構図が容易に想像できる。

9月に公判が始まると言われているが、遅くなる可能性は高いし、公判も1年から2年の歳月が費やされるという。

弘中は弁護士である。ゴーンの立場を守り、裁判での勝利を目指す。「ゴーンさんの無実以外、認められるものはありまません」と断言し、不利な状況をひっくり返すことに尽力する。

しかしジャーナリストとして、弘中の言い分だけを聴いては片手落ちで、検察側の証拠や言い分も聞かないと客観的な判断はできない。

現時点でゴーンが無罪判決を受ける可能性は極めて低いと言わざるをえないが、もし弘中チームが無罪を勝ち取ったとしたら、「カミソリ弘中」は別の異名を得るに違いない。(敬称略)