オバマの密約

デイビッド・プロウフという男がいる。

昨年、オバマを大統領に「仕立て上げた男」と形容してもいい人物である。選挙対策本部委員長を務めたプロウフは選挙後、ホワイトハウスに入らずに政治コンサルタントにもどった。その彼が『The Audacity to Win(仮訳:勝つための希望を抱いて)』という本を出版した。

        

      

プロウフが08年大統領選についての本を執筆中という話は聞いていたので、楽しみにしていた。まだ本は手にとっていないが、彼が昨年何にもっとも気をつかい、選対をどう動かしたのかなど、私には興味のつきないことがつづられているはずだ。

その中で、いまアメリカのメディアを騒がせているのがヒラリーの処遇である。昨年6月にヒラリーとオバマの予備選での決着がついたあと、オバマは真剣にヒラリーを副大統領にするつもりだったとプロウフは書いている。けれども彼をはじめ、選挙スタッフが反対したため国務長官にしたという。

スタッフが反対したのは、ヒラリーを副大統領にすればビル・クリントンも一緒にホワイトハウスについてくることが厄介だったからというのが理由だ。

私はヒラリーが敗北宣言をしたあと、副大統領になる可能性が大きいと考えていた(参照:ヒラリーの敗北宣言 )。それは長年大統領選を取材してきたジャーナリストとしての勘なのだが、二人が互いの携帯電話の番号をスピードダイヤルにして連絡をとっていただけでなく、二人の一挙手一投足が選挙中盤から「タッグ」といえるほど緊密で、どちらが大統領になっても副大統領か重要閣僚としてのポジションを与える「密約」を交わしていたように思えたからだ。

真実は二人が公職を退いたあとに明かされるかもしれず、それまではじっと待つしかない。(敬称略)

「方針」という安全保障

民主党政権が誕生しても、「相変わらずだなあ」と思うのが日本の安全保障問題への姿勢である。

党内にはこれまでも安全保障問題に取り組んできた議員はいるが、党本部や国際局が外交政策や安全保障政策を国家戦略という立場から立案してきた経験がないので、あたふたとしたまま時間だけが過ぎている。こうした態度は自民党も同じだった。

なにより外務省に安全保障戦略の大局的なビジョンがないので、民主党が政権をとっても大きな変化はない。外務省の人間にこういう話をすると「そんなことはない」というが、大枠では日本は戦略をもたないと断言してもいい。 アメリカの態度を見ながら「方針」を決めてきただけである。

最近の普天間基地の移設問題が好例である。沖縄に住む人たちにしてみると移設は大きな問題だが、一国の安全保障問題の中の一案件であって、外相の岡田からも鳩山からも東アジアの安全保障の枠組みの中でどうしなくてはいけないという発言はきかれない。「方針」という言葉をつかっている。

これは日本が自分たちの安全保障戦略を敷いていない証拠である。それでなければ移設問題でこれだけの時間とエネルギーを費やすことはない。メディアの中にも戦略という概念を本当に理解し、そこから報道している記者はほとんどいないだろう。

それでなければ「普天間、普天間」と騒いだりはしない。というのも、それより大きな問題があるからだ。

インド洋上での給油問題にしても、継続するかしないかといった些末な議論ではなく、戦略としてアフガニスタンでの対テロ活動に法律の枠内で積極的に加担していくか、さもなければオバマ政権に米軍のすみやかなアフガン撤退を国際活動として進めていくかのどちらかの行動を起こすという自然な流れがある。

だが、相変わらずアメリカの顔色をうかがいながら「どうしようかなあ」という態度でいるのがいまの民主党である。

      

                                              by the Pentagon

プレジデント・ロイター連載:米経済回復の兆し―カリフォルニアで起業数3割増

箱根の湯

          

      

中学時代の友人たちと箱根の温泉につかりに行っていた。あいにくずっと空から冷たいものが落ちていて、富士山どころか箱根の外輪山の山頂さえもみえない。雨霧が谷間までおりてきて、あたりをしっとりと包み込む。

今回の幹事役のS君が訊いてきた。

「アメリカにも温泉はあるの」

「たくさんあるよ。でも日本と違ってみんな水着で入るし、ぬるいなあ」

自宅にもどってから、あらためてアメリカの温泉事情(ホット・スプリング)を少し調べてみた。個人的にはカリフォルニアとバージニア、ウェストバージニアの温泉しかいったことがなかったが、驚くことに全米海洋大気局(NOAA)の調査によると、アメリカには1661ヵ所も温泉があった。

日本では湧水の温度が25度以上であれば温泉と名乗れる温泉法があるが、アメリカには確立された温泉の定義はない。ただNOAAでは水温が20度以上50度以下を「ぬる湯(ウォームスプリング)」と定めている。

それにしても、調べてみるものである。1661ヵ所という数字は、それだけで雑誌・書籍担当の編集者が「特集を組みましょう」「本を作りましょう」といい出しそうなインパクトがある。

ただ情緒のある日本の温泉宿は食事にしても浴室にしても、アメリカには太刀打ちできないレベルにまで昇華されているので、いくらアメリカが進歩的なことが好きであっても日本の温泉の伝統は真似できない。

日本からアメリカの秘湯を訪れても、たぶんガッカリさせられるだけである。

復活!

消えたブログの内容が復元されました。

懇意にしているコンピューター会社に、「ブログが1カ月分消えてしまいました。元にもどるでしょうか」と訊くと、「データは残っているはずです。対処します」という頼もしい返事。 

無事に復元されて、ふたたび書き始めることにいたします。

今後ともよろしくお願いいたします。

       

一時中止

大変残念ですが、ブログの更新を一時中止いたします。

9月中旬から10月中旬にかけてのブログを誰かに消されてしまったためです。調査したのち、再開したいと考えております。

よろしくお願いいたします。