問われる国連の意義

日本時間19日、ニューヨークの国連総会にウクライナのゼレンスキー大統領が登壇した。ロシアに軍事侵攻された国の代表であり、初めて訪れた国連でどういった話をするのかが注目された。

「我々は団結することで各国に平和をもたらせることができ、団結することで戦争を防止できるはずです。ロシアの欺瞞と侵略を許容してしまうと、この会場の多くが空席になるでしょう。どんな戦争も最終戦争につながりかねないのです。侵略戦争が二度と起きないように我々は団結するしかないのです」

たいへん真っ当な主張である。国連という場で、特にロシアの代表団に平和の尊さを訴えたかったに違いない。だが、皮肉にも、会場には多くの空席が目立ったばかりか、ロシアの代表団はゼレンスキー氏の演説中にスマホを見ながら談笑していた。

こんなことでいいのだろうか。国連という場が以前よりも軽視されてきているように思えてならない。同氏はこうも述べた。

「兵器化を抑制し、戦争犯罪を罰し、国外追放された人々を帰国させ、占領者は自国に戻らなければならない。私たちは団結してそれを実現しなければならない」

まさにその通りで、国連という場を最大限に利用し、国際機関としての役割を強化してロシアの蛮行を止めなくてはいけない。米国だけでなく日本政府も役割を担って、戦争防止に努める必要がある。これは机上論としてではなく、国際舞台で本当に動いてほしいと真に願う。

60代の平均貯蓄額

ネットで調べものをしている時、年代別の平均貯蓄額という表が目にとまった。人がいくら貯蓄しているかはなかなか気になるところだが、 金融広報中央委員会というところが発表している数字(令和4年)なので、信憑性は高そうだ。

人間は人と比較をすることで自分の立ち位置を決めるようなところがあり、これは国を問わず、どこでも同じだろうかと思う。

私は現在66歳。60代の貯蓄額をみていくと、平均が1388万円とある。高いようであり低いようでもあるが、それなりの額である。ただこの1388万円は何千人もの貯蓄額の平均であって、億単位の貯蓄をしている人も当然含まれる。何十億円ものお金がある人も含まれるので、平均額はかなりあがってしまう。

そういう場合を考慮して、本当の平均といえる「中央値」という数字も発表されている。60代はこの中央値が300万円とでている。もちろん、どの年代でも貯蓄どころか借金を抱えている人がいるし、貯蓄ゼロという人たちもいる。そうした全体像を眺めると、貯蓄額が300万円というのが「普通」なのかもしれないが、なかなか判断は難しい。さらに、この数字には不動産等の資産は含まれていない。あくまで貯蓄額ということである。

それでは私の貯蓄額は、、、、いえるわけないでしょう!

人生はいつからでも新たなスタートを切れる

昨日(9日)の朝日新聞夕刊にたいへん興味深い記事がでていた。元暴力団員の男性(48)が、暴力団から足を洗い、3年ほどで慶應大学合格を勝ちとったというのだ。

斎藤由則さんは神奈川県小田原市出身。5歳で両親が離婚し、母親と2人で生活をしていたが、中学くらいから非行を繰り返し、何度も補導されたあと、17歳で窃盗と傷害で少年院に入る。少年院をでてからは指定暴力団「山口組」の傘下組織に入り、「ヤーさん」の仲間入りをする。

犯罪を繰り返し、23歳時の犯罪でその後7年間も服役することになる。出所したあと久しぶりに母親と会うとやせ細っていた。「このままでいいのか」とようやく思い、ヤクザの世界から足を洗った。

そのあと新聞配達やタクシー運転手など、さまざまな仕事をしたが、自分が勉強をしてこなかったので、また「このままでいいのか」と自問し、勉強をし始めた。42歳になっていた。その時は広島市に住んでおり、同市にあるゼロから教え直すという学習塾にはいり、慶應大学をめざすと宣言。

アルファベットやかけ算から学び直した。英単語は月に1000語ずつ覚えていく。そして2018年8月に高校卒業程度認定試験に合格。1日に13〜15時間ほど勉強して、2020年春に慶應大に合格する。

周囲からは「元ヤクザが慶應なんかにいけるわけがない」と言われたが、見事に合格を勝ち取り、いまは司法試験にむけて勉強している。そしてこう述べる。

「人生はいつからでもやり直せる。決してあきらめないで」

斎藤さんのひたむきな姿勢には脱帽である。

朝起きて・・・

「なんだ夢か・・・」

と呟かれたことがある人は少なくないはずだ。今朝、私はそう言っていた。どんな夢だったのか。

アメリカ大統領選の夢で、対戦相手は共和党がドナルド・トランプ氏で、民主党はバイデン大統領ではなくビル・クリントン元大統領だった。しかもクリントン氏の横に佇んでいたのはヒラリーさん。

なんと夫婦で正副大統領に出馬していたのだ。夢ではクリントン夫妻が圧勝し、ホワイトハウスに再び夫婦で移り住むというストーリーだった。来年11月の選挙までまだ時間があるので、バイデン氏が再選を辞退することも十分にあり得る。

クリントン夫妻が政権を担うというシナリオは現実としてアリなので、個人的にはバイデン氏の再選よりも興味深いし、世間的な関心も高いはずだ。その方が当選する確率も上がるのではないか。

クリントン夫妻ならそれくらいのことはできると思うが、、、、。

「世界に希望が残されているとしたら、それは名もなき人々に」

昨日(7月26日)の朝日新聞夕刊に「ゲド戦記」の翻訳者である清水真砂子さん(82)のインタビュー記事がでていた。「人間の弱さを認めて生きていくところから真の人生がはじまる」という言葉に納得し、全文を読んだ。

ゲド戦記の作者ル・グウィン氏は物語のなかでも記しているが、「世界に希望が残されているとしたら、それは名もなき人々の中にある」という。「オレがオレが・・・」と出しゃばるのではなく、ワン・オブ・ゼムでいることの尊さや豊かさを悟るべきだという。

さらに「人に助けを求める力」を持つともっと生きやすくなると説く。社会では往々にして、助けを求めることにマイナスのイメージがついてまわる。弱者と捉えられてしまうからだ。しかし、実際は助けを求められる方も信頼されることで力をもらうことになる。助けを求め、求められて生まれるつながりが「人を生かしていくのではないでしょうか」と述べる。そしてこうも言う。

「忙しすぎると喜びに気づけないかもしれない。忙しさを脱出する力を持たなきゃ、潰されてしまいます。時には上司や組織と賢く闘うことが必要です。その人らしくあるためには、納得のいく仕事をする時間をもたないといけない」

納得である。あとは実践あるのみである。