企業全体がマーケティングのエンジン

新しいマーケティングの手法がいたる所で試されている。しかもその変転は早く、英語でいう「カッティング・エッジ(Cutting Edge・最先端)」の手法が毎日のように生み出され、マーケティングの定義が再構築されているといっても過言ではない。

マーケティングのプロでさえ、成功を導きだすための「正解はない」と述べているほどマーケティングの世界は時代と共に進化している。同時に、最先端の手法はいくつかの方向に伸びているのが特徴的だ。

その中で注目に値する手法は、企業全体を「マーケティングのエンジン」と見なす考え方だ。これまでマーケティングの職務は、マーケティング部門だけに任せる傾向が強く見られた。しかし今後は、企業全体でその責任を負うという姿勢が興隆してきている。

企業人にとってマーケティングというのは、狭義では広告・宣伝、販売促進活動などを指すことが多い。広義としては、商品企画から製造、流通、営業、顧客管理まで企業活動のほとんどをマーケティングと捉える流れがあり、そこに最新トレンドを見ることができる、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

MBAが企業を悪くさせる?!

MBAが増えすぎたことで経営が悪化する―。

経営のプロを養成するビジネススクール。MBAの功罪は長年広く議論されているが、アメリカ財界の一部で今、MBAの存在意義に疑問が投げかけられている。

その理由の1つがアメリカ製造業の競争力低下にある。MBAの資格を持つ経営者が大企業のトップに君臨しはじめたことが起因しているとの仮説がある。ゼネラル・モーターズ(GM)のロバート・ルッツ前副会長の最新刊『クルマ屋VS経理屋:ビジネス魂を求める戦い(仮題)』では、MBA経営者が増えすぎたことがアメリカのモノ作りの力の低下につながったと指摘している。

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          デトロイトのGM本社ビル

1年ほど前、本コラムの「サンプル」でアメリカ製造業の衰興について記した。同業界はすでに衰退したと思われがちだが、実は生産高は今も上昇し続けている。モノ作りの内側に変化が生じているだけである。

ただ財務諸表を気にする傾向が強いMBA出身の経営者たちは、コスト削減に重きを置くことで製造を軽視しつづけてきた一面があり、それがビッグ3の衰退につながったと説いている。

実はルッツ氏自身、カリフォルニア州立大学バークレー校でMBAを取得しているが、MBAが企業経営の万能な力を持っているわけではなく、すべての業界で秀逸であるというのは幻想に過ぎないと主張している、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

米大企業がベンチャーキャピタルに戻ってきた理由

「アメリカの景気は今後どうなりますか」

アメリカと直接ビジネスを行っていない方でも、アメリカ経済の行方は知りたいものである。

眺めるべき経済指標はたくさんあるが、一言で表現すれば「足踏みからようやく半歩前に出ただけ」というのが実情である。第1四半期のGDPは1.9%。アメリカ人にとって家計に響くガソリン代は、全米平均で1ガロン3ドル68セントにまで落ちてきた。

だが失業率は6月、再び9.2%に上昇している。市場に十分な資金が流れて企業が積極的に設備投資を行えばいいが、そうした動きによる活況の姿はまだ遠い。

たとえばバブル期であれば、投資家たちは新進企業にベンチャーキャピタル(VC)として多額の資金を割いて、大きなリターンを期待した。VCへの資金運用は、アメリカの景気を見る上で指標の1つである。

VCの大きな目標は新進企業の株式公開(IPO)で、全米ベンチャーキャピタル協会の調査によると、2010年に集まったVC資金は125億ドル(約1兆円)に過ぎなかったという。この額は03年以来の低さで、「VCは枯渇した」と形容できるくらいだ。だがここにきて、大企業がVCに資金を流入しはじめている、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

オバマ再選が微妙な理由

2009年春から、アメリカの勤労者の動きが鈍い。動きというのは転職の「動き」という意味である。

アメリカの勤労者のほとんどが転職経験者であることはよく知られる。職場を変わることを「プラス」と捉え、新しい職場に移るとすぐに履歴書を更新し始める人が多い。

大手調査会社のマーケットツール社によると、過去半年、アメリカの勤労者の50%以上が職場を変わりたいと答えていることが分かった。別段驚くべき数字ではない。忍耐という言葉よりも、転職という二文字を選択しがちなアメリカ人の考えを如実に表している。

職場の給与・待遇の不満や硬直した人間関係から脱する方法の一つが転職であり、将来性の望める企業や働きがいのある職種へ移ることが起因になる。

だがアメリカでは転職する人の数がリーマンショック後から減りはじめている。過去2年ほど、月平均の転職者は5年前と比較すると約100万人も減った。好景気の時期、アメリカでは毎月約300万人が転職していた。ある意味で異常な多さである。だが近年は毎月約200万人しか仕事を変わっていない、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

国外からUターンしてくるアメリカ製造業

国外に出ていたアメリカ製造業が戻ってくる―。

いまアメリカ財界でしきりに語られはじめた話題だ。アメリカの大手企業が利益率を上げるために国外に大挙して製造拠点を移すようになって20年以上の歳月が経つ。

安価な労働力を求めて東アジアや東南アジア、中南米にアメリカ資本が投入されたが、今その資本がアメリカに戻されはじめている。

昨年8月、世界最大の建設機械メーカーであるキャタピラー社はテキサス州ビクトリアに油圧ショベル工場を建設すると発表した。アメリカのメディアはそれを製造業のUターンが始まったと書きたてた。新規雇用は500人だが、油圧ショベルの北米生産能力を3倍にする予定で、12年にはフル稼働を目指している。

この動きが本当に製造業のターニングポイントになるのだろうか。単に工場をアメリカ国内に新設するだけではない。そこには中国の製造業の変化を受けた企業戦略があった、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。