旅が教えてくれるもの

先週末に瀬戸内海の小豆島を訪れていたが(ここはどこでしょう)、久しぶりに東京を離れると、普段の生活がいかに限定的で単調であるかがよくわかる。それが日常というものなのかもしれないが、「殻を破る」ということによって新しい空間や景色を体感でき、心の中に別世界が広がるような気がする。新しい人との出会いだけでなく、車窓から眺めた風景がしばらく心の片隅に残り、それがエネルギーの源泉になることもある。

これまで世界中を旅してきたが、旅のよさの一つは予期せぬものとの遭遇である。ガイド本やネットで旅先の情報を読み込んでいっても、自分の心を打つ光景が突然目の前に現れるという状況は読めない。船で海をいくことは最初からわかっていても、その途上で目にする島々の美しさは想像を超えている。何キロも先にある島のむこうにまた別の島があり、その遥か向こうに緑豊かな大きな島が見えると、しばし見入ってしまう。

その風景を目に焼きつけながら、人間の小ささや命の儚さといったことを考えるという作業は都会では無理がある。山手線から見えるビルを眺めても何の閃きも起こらない。生活にオオトツ(凹凸)がないことで、日常生活を支障なくおくれるという考え方もあるが、旅に出ることで日常生活を脱して新しい息吹を感じることは、人間にとって大変重要なのだと改めて思った。

さらに旅にでると、普段考えないことをさまざまな視点から眺めて熟慮することができるという点でも貴重である。立ち止まり、そこからワンステップ先に歩を進め、さらに立ち止まって一考してから行動に移す。

これからも旅をしていくことで明日へのエネルギーにつなげていきたいと考えている。