ドナルド・トランプ前大統領(以下トランプ)が不法移民に対して厳しい態度を取ってきたことは多くの人の知るところである。2016年の大統領選でトランプが当選した理由の一つが移民対策の強化を打ち出したからだと言われている。
実際、トランプが当選してからメキシコからの不法移民の数は減り続けた。共和党支持者だけでなく、多くのアメリカ人は違法なルートで国内に入り込んでくる移民に対して快く思っていない。入国するのであれば正規の手続きをつかって入ってくるべきと考えるのは当然といえば当然である。
今年の大統領選の共和党大会で、会場には大きなプラカードが掲げられた。そこには「 Mass Deportation Now(今こそ大量強制送還を)」と記されていた。移民についてのアプローチは、民主党が歴史的に寛容策をとっているが、共和党は厳格な対応を推し進めてきた。
ただ米国は基本的に移民によって成り立っている国であり、移民を受け入れることで経済活動をより円滑にするとの見方があり、筆者は個人的にはこちらの考え方に賛同する。多くの移民を受け入れるという寛容な態度もアメリカには必要だからだ。
ただ、米国には推定1100万ほどの不法移民が滞在していると言われ、トランプは軍隊を使ってでも強制送還をするとの意気込みだ。しかも今年の選挙では、こうした強硬な移民政策を選挙キャンペーンの中心に据えている。不法移民を一網打尽にするために州兵を出動させ、収容所に収容し、強制送還させるつもりだという。
こうした強硬策が米市民に広く受け入れられるかどうかは11月の選挙にあらわれるはずだ。さて、どうなるのか。(敬称略)