停戦を願う

パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘は依然として続いたままだ。死傷者は相変わらず増え続けている。

バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に対し、戦闘を3日間停止するように要請したが、ネタニヤフ氏は一時停止すればハマスを利するだけであるとしてバイデン氏の要請を受け入れなかったという。むしろ、ガザからハマスを追い出たあとに、イスラエルは「無期限駐留する」との意向である。

ウォールストリート・ジャーナル紙によると、バイデン氏はイスラエルに停戦を呼びかけていながら、3億2000万ドル(約480億円)相当の航空発射型の精密誘導弾をイスラエルに提供する計画を練っていたという。イスラエルの空爆によって子どもを含めた多くの市民が死傷しているのが現実で、バイデン氏は結局イスラエルを支援する立場を崩していないというのだ。

これまでも、米国はこうした国際政治の舞台で相反する行動をとってきた。昔風の言葉を使えば「マッチポンプ」というやつだ。マッチで火をつけていながら、一方で火消しも行うという矛盾する行為である。

米国にしかできないことが過去も現在も、そして将来もあるかと思うが、バイデン氏がいまやらなくてはいけないのは、3日間という短期的な期間ではなく半永久的にパレスチナでは戦争をしないということをイスラエル側とハマス側に認めさせることである。簡単なことではないが、そこに交渉力を使うことこそが政治家としての使命のはずだ。

一夜だけの阪神ファン

日本シリーズ第7戦はスタートからテレビの前に陣取り、試合終了まで動かなかった。私は子どもの頃からジャイアンツファンだったので、阪神というチームを応援したことはこれまで一度もなかった。

しかし、である。日本シリーズが始まってから、阪神が勝てば「38年ぶりの日本一」という言葉があちらこちらから聴こえてきて、ここはオリックスではなく阪神を応援するしかないだろうという気持ちになり、試合終了までずっと「タイガース頑張れ!」と叫んでいた。

38年間も日本一になる機会を逃していたチームであっても、トップに君臨する機会が必ずや巡ってくるということを全国に示した点で、今年のタイガースは素晴らしかった。

決して諦めない精神は、誰しもが心に宿すべきもので、私も試合のあと、「たとえ負けがこんだとしても、やり続けることで成功を勝ち取れる」という言葉が胸に宿った。

ただ、また今日からはジャイアンツファンに戻ると思うが、、、、。

同じ穴のむじな

イスラエルのネタニヤフ首相は2日前、「ハマスとの停戦には応じない」と明言し、ハマスが実行支配するガザ地区への激しい攻撃をつづけている。国際社会が停戦を願っても、イスラエルはハマスを殲滅するまで攻撃の手を緩めるようには見えない。

一方、ハマス側もイスラエルに対して同じような意識を抱いている。ハマスの高官ガジ・ハマド氏は今週、レバノンの放送局LBCIニュースで「我々はあの国を排除しなければならない」とイスラエルに対する敵愾心をむき出しにした。そしてこうも述べるのだ。

「イスラエルが消滅するまで、我々は犠牲者という立場なのだ。われわれが行うすべてのことは正当化されるはず」

「アルアクサの洪水(10月7日のイスラエルへのロケット攻撃)は第一段階に過ぎない。第二、第三、第四と続き、戦いつづける決意がある」

「 代償を払うことになるか?そう、それを払う用意もある。われわれは殉教者の国と呼ばれ、殉教者を犠牲にすることを誇りに思ってさえいる」

日本から同地域を眺めていると、両者ともに自己正当化の論理を展開しているだけで、歩み寄って和平に向かうべきという意識はみられない。やはり米国が中心になって和平への舵取りすべきなのだが、いまはそうした具体的な動きが見られないのが残念でならない。