北野武登場

11月15日午後3時。東京丸の内にある日本外国特派員協会の記者会見に現れた北野武氏。「本音を語り尽くした」といえるほど、普段彼が考えていることを思う存分に語った会見になった。

普段のテレビ映像からも、あまり隠し事をせずに思いついたことを述べる人との印象はあったが、「生タケシ」はそれ以上で、なぜ漫才の世界から映画の世界に入っていったのか、さらには新しい映画「首」の見どころなど、縦横無尽に語っていった。

「漫才は若くないとできない。アスリートというか、もう40歳くらいで追いつかないと思った。それで映画に手をだした」と素直に漫才から離れた理由を述べた。そしてこうも言った。

「いろんなことをやったが、何をやってもダメ。本当にいろいろなことに手をだした。自分にピッタリなことを探してきたが、自分がやってきたことにはそれほど満足していない」

これほど才能のある人は滅多にいないし、何でも器用にこなせるという印象だが、自分への評価は厳しく、『何をやってもダメ』と断言。これは謙遜も少し含まれるが、会場で聴いていた限りではこの言葉は本心で、本当にダメであるとの思いを持っているようだ。それだからこそ、「まだまだ俺はできるしやらなくてはいけない」との考えがあり、これからも活動しつづけようとのエネルギーが沸いてくるかにみえた。

新作映画「首」では本能寺の変が描かれているが、「NHKの大河ドラマではカッコイイ役者をつかって綺麗事を描くが、 織田信長は男色で、 そうした点は描かない。ドロドロとした人間模様も大事なところ」とサラッと語った。

北野氏は同作品で原作、脚本、監督、役者をこなしているが、本当は出演する予定はなかったと認めた。だが、彼が映画に登場しないと海外で宣伝しづらいという声があったのででることにしたという。こうしたことを会見の場で素直に認めるところに北野氏の魅力があると思った。