イデアというもの

いま売り出されている「アエラ」6月20日増大号に山下達郎氏(69)の記事がでている。すでに過去の人と思われがちだが、来週11年ぶりにニューアルバムをリリースする。

アエラのインタビューでは「まさか69歳で新譜を出せるなんて夢にも思っていなかった」と素直に喜びをあらわしている。そしてこうも言う。

「僕がやっているようなポピュラーミュージックは大衆に奉仕して、人の気持ちに寄り添うことと、「人間の生への肯定」が使命だと思っています。都市でも、地方でも、日本のどこかで真面目に働いている人のために演奏して歌う。それは昔から変わっていません」 

「人間の生への肯定」といういいフレーズが目をひく。気負いは感じられない。1975年のデビュー以来、ずっとミュージシャンを続けてきて、いまになってまたポロッという感じで新譜がでる。すばらしいことである。同時に、山下氏はこうも述べる。

「僕の音楽制作は自分の理想、僕が『イデア』と呼んでいるものを現実化する作業です。頭の中には最高のメロディーとサウンドがある」

このイデアを自分の手にするためにもがき続けているのだという。この記事に刺激を受けたので、私もこれから自分なりにもがいていこうと考えている。

引っ越し、、アレーー(2)

前回のブログでお伝えしたとおり、新居に引っ越しをした。

長年積み重ねてきた荷物と向き合い、断捨離をする部分と残す部分とにわけて、さらに家具を含めて何をどこに配置するかに腐心している。

「こんなにモノが多かったのか」というのが率直な思いで、荷物に埋もれながら、ため息をつきながら淡々とやるべきことをこなしている、、、つもりである。連載をしているいくつかの媒体にはお休みをいただいて、迷惑をおかけしている。

このブログも新しい心持ちで、新鮮なことがこれから書けていけたらと思っている。

引っ越し、、アレーー

久しぶりの引っ越しである。

この歳(来週65歳)になると、引っ越しがこれほど辛いものになるとは思ってもいなかった。フラフラ、クタクタといった形容では言い表せないくらいの疲労感、、、。

新居での生活が快適になることだけを祈って歯を食いしばっている。

Plan 75

映画『Plan 75』が問う高齢者の尊厳死がいま注目されている。

カンヌ国際映画祭でカメラドール特別表彰を受けたという理由もあるが、それよりも日本政府が75歳以上の高齢者にみずから死を選ぶ権利を保障・支援するという制度が斬新で、仮定ではあるが、この新しい視点がこの映画の価値である。

倍賞千恵子が主人公(角谷ミチ)を演じていて、映画では78歳になった角谷が夫と死別し、ホテルの清掃員をしながら一人暮らしをしている。だが、高齢を理由に退職を余儀なくされてしまい、Plan75を考えるようになる。尊厳死を前向きに捉えていくようにも思えるが、高齢者を排除するという風潮への強い疑問も発せられている。

同時に、高齢者が自ら「安らかな死」を選ぶという選択肢が現実的に採用できるかどうかも問われている。実際に多くの方はこうした制度があってもいいと答えており興味深い。

これからの日本、いや世界中でこの問題は明らかに広く議論されていくはずだ。私はまだ観ていないが、ぜひ劇場に足を運んで、人間の死というものをさまざまな角度から考えてみたいと思っている。