悲観的な中国の未来

いまフランスの人口学者エマニュエル・トッド氏の『老人支配国家 日本の危機』(文春新書)という本を読んでいる。トッド氏は人口学者であるが、いまの世界を歴史的、統計的な立場から論じている学者で、独自の視点がいつも興味深い。最近も月刊文藝春秋で「日本核武装のすすめ」という論文を書いている。

『老人支配国家 日本の危機』でもハッとするような記述に出会う。同氏はこう書いている。

「中国が、今後、「帝国」になることは、政治的にも経済的にもないでしょう。中国の未来は悲観せざるを得ないという点で、人口学者は一致しています」

多くの方は中国はすでに帝国になりつつあると思われているかもしれない。そうした考え方をトッド氏は否定する。その理由は「少子化と高齢化が進んでいるから」と述べる。特に出生児の男女比が、男子118人対女子100人という点に注目している。通常は106人対100人であるという。

これは中国では妊娠中に女子であることがわかると、選択的堕胎が行われていることを意味している。中国社会では女性の地位の低さがいまでも指摘されており、伝統的な価値観が流布している。さらに若いエリートが国外に流出しているため、中国経済はいま内需が弱く、輸出依存の脆弱な構造になってもいるとトッド氏は述べる。そして「砂でできた巨人」と形容する。

その流れで、日本は思い切った少子化対策を打つことが大切だと書く。「子どもは宝」とはよくいったもので、子どもこそが将来の国家を支える存在なので、子どもへの投資は将来への投資になることをすべての日本人は意識すべきかもしれない。

ロシアのウクライナ侵略で加速する米国の宇宙空間軍事化

ロシアによるウクライナの軍事攻撃は当分、止みそうにない。ロシアの戦車が列をなしてウクライナに攻め入る光景は、20世紀の戦闘を彷彿させるものがある。

そうした中、米国は宇宙空間での軍事化を進めるために21世紀型の軍事増強を推し進めている。というのも、ロシアと中国が米国の運用する多くの人工衛星に対してサイバー攻撃を仕かける能力を持つため、米国は両国に対抗していく軍事力を高める必要があるのだ。

実際にロシアは昨(2021)年、宇宙空間にある衛星からミサイルを発射して、軌道上にある他の衛星を破壊している。中国もまた、他の衛星をつかむことができるロボットアームを搭載した衛星を保有している。

過去1カ月半ほど、ウクライナを中心に、地上での戦闘に目がいきがちだが、中長期的な軍事戦略としては宇宙空間での戦いにも注目をしていく必要がある(続きは・・・ロシアのウクライナ侵略で加速する米国の宇宙空間軍事化)。

無性に食べたくなるもの(20)

「今日のランチは大戸屋に行こう」と朝から決めていた。ご存知の方も多いと思うが、大戸屋は定食に力をいれている。さらに「色とりどりの栄養も、素材を生かす無添加も」というキャッチフレーズどおり、なかなかどうして、1000円前後の定食としては評価が高いと思う。

今日は「鱈と野菜の黒酢あん」を選択。イケてました!

ニュースの優先性

昨日(4月8日)の夜、テレビ・ニュースに注目していた。というのもロサンゼルス・エンジェルスの大谷翔平氏が初戦に初登板し、1番打者として打席に入ったので日本のテレビがどう扱うかが気になっていたからだ。

私は当然のように、どのニュース番組もトップニュースとして扱うと思っていた。ウクライナ情勢よりもコロナ問題よりも、その夜のニュース的価値は大谷氏が勝っていると思っていたからだ。

だがNHKの午後7時のニュースでは、番組後半のスポーツコーナーが来るまで大谷氏を扱わなかった。信じられなかった。さすがにNHKである。これは悪い意味での「さすが」であって、大谷氏の快挙を重視していなかったということに他ならない。敗戦投手になり、安打を打てなくともトップニュースであるべきだった。

テレビ朝日の報道ステーションでは「トップニュースとして扱うにちがいない」と思っていたが、やはり大谷ニュースはスポーツコーナーで報道されただけだった。私がプロデューサーだったら、まちがいなくトップニュースとして扱っていたと思う。

その夜、最後に観たのはTBSのNews23で、ここでは冒頭から大谷ニュースを扱っていた。「さすがTBS。さすが小川彩佳」である。ここでのさすがはもちろん感心して唸った「さすが」で、番組プロデューサーのセンスはニュースの優先性という点から十分に判別できるものだと思った。

何しろシーズン最初の試合で先発し、さらにトップバッターだったのである。私の見立ては甘いのか。